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僕のものではない君に

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「お前は、、、強いな、、」
ナイフを突きつけられながら、どうしてあんな風に、いなしていられるのか。
「お前だって、強いさ。今は少し、迷ってるだけだ。」
「バサラ・・・」
「俺も、迷って苦しんだときがあった。だけどさ、“お前は歌えって。”そのとき言われたんだ。 おかげで吹っ切れた。俺の答えはいつだって歌にあるってな。」
金色の瞳がガムリンに向けられた。
ソファの前に二人で向き合うように座り込んでいた。
近すぎる距離で、しばらく二人黙っていた。
鼓動が聞こえてしまいそうな距離感に、先にいたたまれなくなったのはガムリンだった。
「今夜はお前がベッドを使え。傷が痛むようなら言えよ」
「痛てぇって言ったら、添い寝でもしてくれるか?」
バサラは唇の端をあげてニヤリと言ってみたが、ガムリンは、ほんの少し頬をゆるませただけで、首を横に振った。
 

隊長と同僚を失ったあの事件。
失われたのは隊長たちの命だけではなかった。
追い詰められた犯人の手にかけられた人質の命。
爆弾による多くの隊員たちの命。


“もっと強ければ”とずっと自分を責めてきた。
しかし、あのときに力に頼る以外の方法を選べなかったのだろうか?
錯綜する情報の中、無謀な突入命令に疑問を持たなかったわけではない。
止めるべきだった。命令を拒否するべきだったんだ。今なら分かる。戦わないことを選ぶこともまた、強さであると。
瞬きもせずにぼんやりと天井を見つめ続けていると、視界が歪みそうだった。

作品名:僕のものではない君に 作家名:小毬