二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Muv-Luv Cruelty Mermaids 1

INDEX|15ページ/22ページ|

次のページ前のページ
 

「それよりも…よりにもよって最適解が"ヴィクスン"に頼るだなんて…情けない限りです。」

「でも貴方はそれさえも利用しようとしている…喰えないわ。」

これが、ユウキとクリスが2人きりでする最後の会話となった。




◇◇◇




15分後。
キャシー自室。

キャシーはつい先程為された話を未だ理解しきれずにいた。
いや、頭では理解できていた。感情が追い付かないのだ。

―私達はアメリカにとって捨て駒。でも少佐は私達を生かそうとしている。同時にアメリカに反旗を翻すような指示を私達に出した…

元々キャシーはG弾について懐疑的であった。重力場を変動させ、ハイヴ及びBETAを掃討する。異星起源種を"叩く"だけならば確かにそれで良いかもしれない。しかし"叩いた"後はどうするのだろうか。重力場が元に戻る保証はない。BETAを駆逐出来ても、其処に人が住めなければ意味がないのだ。
しかしそれは忠誠を誓ったアメリカに対して反対することになる。
相容れない感情。どうしていいのか分からない。
挙げ句に少佐と大尉は自身の死を前提に物事を進めている。
そんな事が赦されていいのか。
堂々巡りの思考の末にふとクリスとの会話が思い出される。

―私はあの明るい街を守りたいわ。人々が笑って暮らしている世界を壊したくないもの。失ったものを取り戻すのは、大変なことだし。

―何かを守ろうとする意志は貴女をもっと強くするわよ。ゆっくりでいいから見つけてみなさい。貴女にしか守れないものを。

「あ、ああ…」

キャシーはクリスの真意に気付いた。
何かを守る強い決意。それさえあれば"自分の命さえ道具として扱える"。それが何かを守るために必要な"ピース"の一部ならば。
恐らくユウキも同じ考えなのだろう。

―どうして…どうしてそこまで強いの…?守りたい物があるから?分からない…分からないよ…

キャシーは再び涙を流す。だがそれと同時に1つだけ、心に決めたものがあった。

―ユウキやクリスの事ではもう泣かない。彼らに対して泣く事は彼らの誇りを無下にすることだから。

―私もいつか、何かを守るために闘う。貴方達のように…!



―夜が明けていく。


作品名:Muv-Luv Cruelty Mermaids 1 作家名:Sepia