二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Muv-Luv Cruelty Mermaids 1

INDEX|16ページ/22ページ|

次のページ前のページ
 

8.Lost



キャシー、フィールがユウキ、クリスと別れて9時間後。

橋頭堡は第一種警戒体制が敷かれ、衛士達は皆ブリーフィングルームに集まっていた。

「これよりブリーフィングを行います。12時間前、観測衛星よりミンスクハイヴ、リヨンハイヴの両ハイヴより軍団規模のBETA排出を確認しました。これに伴い国連、東欧州社会主義同盟、アメリカの3軍は緊急戦闘体制に入りました。」

プロジェクターに欧州の地図が投射される。
衛士達も僅かにざわめく。

「我々は主にミンスクハイヴのBETAを相手にします。ですが今回、ミンスクハイヴより多数の熱反応を確認、かなりの数の光線級、重光線級がいるものと思われます。」

一気にユウキは説明をする。

「よって今回はカイザー中隊、フェニックス中隊による先導後、シーホース中隊、マナティー中隊によるフェニックスミサイルでの光線級吶喊を行います。スパイラル中隊、ジョーカー中隊は前衛、ドルフィン中隊、インビジブル小隊、マーメイド小隊は中衛、ジュゴン中隊は後衛をお願いします。なお今回は混戦が予想されます。各軍の指揮官の命令には"必ず"従うこと。これを徹底してください。」

「「了解!」」

「作戦開始は2時間後。各自、即応体制で待機してください。以上!」

――――!

敬礼の後、各員は慌ただしく行動を開始した。
キャシーも動く。もう迷わない。自分に課せられた任務を全うする。それだけを考えていた。

「マーメイド小隊、集合!」

キャシーの叫びに人魚達が集まる。

「みんな。今回ばかりは相当大変な作戦になるわ。今まで以上に気を引き締めて任務に当たって。以上よ。」

「「「了解!」」」

その一言の後、4人は格納庫へと走り出した。




◇◇◇




2時間後。格納庫。

「システムオールグリーン。キャシー・フォード中尉、出撃(で)る!」

HQからの出撃命令を受け、キャシー率いるマーメイド小隊は指示座標へと機体を飛ばした。
既にドルフィンズ、インビジブルズは展開を完了しており、残るはマーメイズのみとなっていた。


「マーメイド1よりHQ。展開を完了。」

「HQ了解。マーメイズはその場で待機せよ。」

「マーメイド1了解。」

HQとの通信を切ると、戦闘が始まってすらいないのにキャシーの身体を疲労が襲った。
今はカイザー、フェニックス、シーホース、マナティーが光線級吶喊を行っている。

「HQより戦術機各機。カイザー、フェニックスがBETA群に吶喊開始。なお、現段階で戦術機大破無し。」


―15分後。

「HQより戦術機各機。カイザー、フェニックスが光線級群に到達。光線級は30体。重光線級は10体確認。尚、カイザーズは1機、フェニックスズは3機、シーホースズは4機、マナティーズは3機、大破。」
光線級の総数が40を越える異常事態に場が色めき立つ。

「重光線級が10体って…」

絞り出すようにフェミニが呟く。

「なんて…こと…」

小隊では一番の実戦経験を持つセリーナでさえ動揺を見せていた。

「HQより戦術機各機。突出したBETA群、距離約2500より接近中。迎撃体制にシフトせよ。」

「「了解!」」

「なお、光線級吶喊は継続中。光線級を16、重光線級を3撃破。友軍の損傷はカイザーズ2、フェニックスズ1、シーホース2、マナティーズ2大破。」

半数近くの光線級を掃討したことを伝えるHQ。しかし友軍の損傷は少なくなかった。しかし軍団規模のBETAに吶喊し、損傷がこれだけで済んだのは流石はベテランというところか。


「スパイラル1よりHQ及び戦術機各機!スパイラル、ジョーカー共に交戦開始!ドルフィン、マーメイド、インビジブル、抜かれたバケモノ共を頼むっ!」

「ドルフィン1了解。」

「インビジブル1了解。」

「マーメイド1了解。」

「HQ了解。光線級吶喊は現在、光線級総数24、重光線級総数5撃破。友軍の損傷はカイザーズ2、フェニックスズ2、シーホース3、マナティー3大破。」
「思ったよりBETAが少ない…?」

「そうね…」

「恐らく、吶喊部隊が間引いてくれたのね。突撃級が軍団規模にしては少ない…」

レインとキャシーの疑問にセリーナが応える。
彼らは光線級吶喊だけでなく、後衛部隊のためにBETAを漸減させていたのだ。多くの犠牲と引き替えに―

「マーメイド1より各機。ドルフィン中隊をバックヤードから支援する!彼らの行為を無駄にするな!」

「「「了解!」」」

「HQより戦術機各機。光線級吶喊終了。尚、ブラックマン少佐はKIAと認定。これにより指揮権はトール大尉に移譲された。」

あまりにもあっさりと、あまりにも単調に派遣部隊指揮官の死亡が伝えられた。
しかし戦場の衛士は感傷に浸る余裕はない。クリスも例外ではなく、目の前のBETAを相手にしながら通信を行っていた。その表情に余裕はない。

「―クッ、ドルフィンッ…1了解ッ!」

クリスがGに耐えながら応答する。
ストライク・イーグルの壁の一部が破られ、BETAが流れ込んできていた。

「スパイラル2より戦域戦術機各機!パイラル3、4が喰われたッ!中衛はリカバリー頼む!」

「ドルフィン1了解!ドルフィンズは戦線を若干上げる!マーメイド、インビジブル小隊は現戦線を維持しろ!」

「マーメイド1了解!」

「インビジブル1了解!」

クリスの采配に皆が動く。その時、光線級吶喊を行っていた戦術機部隊からの通信が入った。

「カイザー6より戦域戦術機各機!現在BETAを漸減しながらそちらに向かっている!ただ、残弾がほとんどスッカラカンだ!補給を行いたい!」

「ドルフィン1了解!吶喊部隊はBETAを漸減させながら後退、補給を済ませ次第戦線に復帰せよ!」

「カイザー6了解!」

この時、カイザー中隊は1人しか残っておらず、また40機近くいた戦術機も僅か5機となっていた。それ程に光線級吶喊は困難だったのである。

「こぉんのぉぉぉ!」

「…ッ、死ねぇぇぇ!」

オープン回線を開いて吠えていたのはルコーニ姉妹だった。2人は分隊を組んでおり、着実にBETAを殺戮していた。

「…くそッ、このままじゃ…!」

時を同じくしてフィールの声もオープン回線に入ってくる。
キャシーも、本来スーパーホーネットでは不可能とされる強引な回転機動とサーフェシングを繰り返しながらBETA群を回避、撃破していた。

「んぁぁぁぁ!…インビジブル1ッ!聞こえるッ!?マーメイド1よッ!」

「インビジブル…1ッ!何ッ!?」

「一回BETA群を後ろに流すわよッ!」

「―!?何ですって!?」

息切れ切れといった様子でフィールはキャシーに問い質す。

「一回BETAを後ろに流してイントルーダーに一気に吹っ飛ばして貰うのよッ!」

「なる…ほどねッ!分かったわッ!采配はそちらに任せるッ!」

「OK!…こちらマーメイド1!ジュゴン1、今の会話、聞こえてたかしら!?」

「―こちらジュゴン1。ミサイルの雨ならいつでも降らせられるぜ?」

「マーメイド1了解!10秒後にミサイルの雨をお願いするわっ!」

「ジュゴン1了解!」
作品名:Muv-Luv Cruelty Mermaids 1 作家名:Sepia