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Muv-Luv Cruelty Mermaids 1

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ラプターから放たれる弾薬を避けつつ、突撃砲を放棄した2機のスーパーホーネットは分隊を組み近接戦を始める。残りの2機はドッグファイトを仕掛ける仲間とラプターの支援砲撃に徹した。

ラプターの弾薬がBETAを爆散させ、スーパーホーネットの一閃が全てを切り裂く。

間もなく全てのBETAは肉の塊となった。




◇◇◇




「嘘…だろ…」

「あの数がたった5分で…」

「アメリカの最新機は化け物かよ…」

「いや、それに付いていったスーパーホーネットの衛士もかなりのモンだぜ…」

驚愕するラーストチカの衛士達の声がオープン回線に響く。しかしフィールは何事も無かったかのように話始めた。

「インビジブル1よりブレスト1。こちらはこれより帰還するがいいか?」

「あ、あぁ…ブレスト1了解。支援、感謝する…」

やっとのことで絞り出した声を聞くと、4機のスーパーホーネットとラプターはその場を離れていった。

「なんて奴等だ…」

遠ざかる8機を見ながら、ブレスト中隊の誰ともなく呟いた。




◇◇◇




「インビジブル1よりHQ。東欧州社会主義同盟軍の支援完了。なお、弾薬の枯渇につき補給を行いたい。」

「―HQ了解。インビジブルズ、マーメイズは補給を完了次第、臨戦態勢で待機せよ。」

「ふぅ、助かった〜残弾は0、推進剤は残り20%切ってるんだよね〜」

「…それはこっちの台詞よマーメイド3。お陰で私まで近接戦をやる羽目になったじゃない。」

エアカバーの最中、レインは弾薬を撃ち尽くし、短刀片手にBETAの群れに突っ込んだ。それを見たキャシーはまだ弾薬が残っていた突撃砲を放棄、短刀を装備してレインと分隊を組んだのだ。

「だってインビジブルズに最初に許可貰ってたし、いいかな〜って。」

「…あんなに早くドッグファイトをやらせられるなんて想像もしなかったわよ。」

呆れながら応えるキャシー。実は彼女は近接戦が苦手だった。
多くのアメリカ人は近接戦を得意としない。圧倒的な火力でのパワープレイをメインとするからだ。レインのように近接戦に長けてる衛士は少ない。

「短刀バカはこれだから…」

思わず本音を漏らすキャシーにレインは食って掛かる。

「ちょっと!短刀の素晴らしさを知らないの!?これには歴史があって―」

「はいはい。…ほらもうすぐ補給よ。マーメイド各機、アプローチに入って。」

「「了解!」」

レインを除く2人が返事をする。

「…ブラックウィドウだって銃剣を持ってるのに…」

レインの呟きは全員にスルーされた。



補給を終わらせて戦線に復帰したものの、前衛の奮闘と後衛のサポートが徹底されており、キャシー達の出る幕はなくその日は作戦を終えた。




◇◇◇




4時間後。
仮説橋頭堡、ブリーフィングルーム。

「あー…つっかれた…」

デブリーフィングを終え、解散の号令が為された直後、真っ先に口を開いたのはレインだった。

「予備とはいえ気ィ使ったわ…」

「それにしても1日で極部分的とは言え完全制圧できるとは思わなかったわ。流石は精鋭揃いね。」

セリーナはマップを一瞥して言う。アメリカ軍に割り振られている区域の1割程度が制圧出来ていた。東欧州、国連軍はそれにも満たないため、現時点ではアメリカ軍が最も進んでいると言える。また小破こそあったものの、大破した機体は0だったため、明日以降もフル戦力で戦えるだろう。

「現時点ではアメリカがトップね〜」

「…姉さん、これはレースじゃないんです。あくまで共同作戦なんです。」

「分かってるわよ。でも1番って思うとやる気が出てくるじゃない?」

「それはそうですけど…」

「フェミニ。あまり細かい事気にしちゃダメよ?レインは大雑把に出来てるんだから。」

「そうよ。戦闘に愉悦を感じる一種の変態なんだから。」

「…セリーナ、キャシー、どーゆうこと?」

若干キレ気味のレインをスルーしてキャシーは小隊に告げる。

「みんな、今日はよく動いたわ。お疲れ様。明日からもハードな任務があるかもしれない。今日は機体のレポートを書き上げたら各自休養をしっかりとってね?じゃ、解散!」

解散の号令をかけ、小隊メンバーは各々行動を始める。

―私達は、生きてサンフランシスコに還る。誰も死なせはしない。

大きな決意を胸にキャシーは足を踏み出す。

こうして作戦初日は幕を閉じた。



作品名:Muv-Luv Cruelty Mermaids 1 作家名:Sepia