おれの親友
おれ達は中学生になった。
サンジは相変わらず友達を作ろうとはしなかった。
そのことがおれは凄く寂しい気がした。
こんなに優しい奴なのに、なんで周りに人が居ないんだろうって。
「お前が居れば十分だ。」
ふてくされた顔で言われた台詞はあまりに嬉しい言葉で、
このままでも良いかなってちょっと流されかけたけど、
でも、やっぱり勿体ないっていうか、うまく表現出来ないけど、
サンジは人に囲まれてるのが似合う気がしたんだ。
サンジは自分から周りに接点を持とうなんて行動はしなかったから、
おれが誰かとのキッカケとか接点とかになればいいなって、そう思って、おれは馬鹿じゃねぇのと言われようが、アホじゃねぇのと言われようが、暇人と言われようが、毎朝サンジの暮らすアパートに通った。
そして二人並んで登校した。
まぁ、そんな大層な理由なんてなくても一緒に通ったと思うけどな。
2学期に入ったある日だった。
朝、母親の弁当が間に合わなくて買弁になったおれにサンジが弁当を作ってきてくれた。
その時、初めてサンジがおれに合わせて買弁にしてたことに気付いた。
おれは一人暮らしのサンジが料理が出来るなんて思ってなくて、
買弁に何の違和感も感じてなかった。
でも、よくよく考えてみればわかったはずなんだ。
仕送りのその額はとても毎日毎食買うわけにはいかない金額で、
サンジのアパートには最低限の調理器具がそろっていたのだ。
「どうした?」
「・・ごめん。」
「はぁ?」
おれは途端情けなくなった。
サンジの周りばっか見てて、肝心のサンジを見落とすなんて・・。
おれが今一番サンジの側に居るのに、サンジはこんなにもおれのことを考えてくれてるのに。
「おい、ウソップ?」
「おれ、お前の親友になれるよう頑張る。」
「・・・は?」
おれはもう、サンジを見る。
誰も見てないなら、おれがいっぱい見てやる。
誰かが見たいっていっても知るもんか。
「おれも、サンジが居れば十分だ。」
「・・おう。」
「いつかおれのことを親友と言わせてやるからなっ!!!」
「・・てか、親友だろ?」
「へ?」
「違うのかよ、」
「ちちち違わないっっ親友です!!親友だっっっ!!!」
「ったく、ほら、食えないもんじゃねぇと思うから、さっさと食え」
サンジは狡い。
いや、狡いと感じてしまうのはおれの勝手な心理で、
サンジは別に悪くはないんだが・・・
普段は絶対に言わないようなことも、おれが少し不安なときっていうか、
今みたいに少し反省中のときには絶対に本心を隠さない。
言葉は少なくても、おれのことをサンジなりに慰めようとしてくれる。
お互い少しこそばゆくて、
視線をそらしながらも、サンジはおれが傍に居ることを良しとしてくれて、
おれが遠慮すればサンジの方から傍に来てくれる。
まるで初めての恋人同志みたいで・・・いやいやいやいやいや。