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Wizard//Magica Wish −11−

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「時間ね」

夜、どこかのビルの屋上で私は大きく手を広げる。今日、ここで全てを終わらせる。もう時間は残されていない。右手には懐中時計を持ち、私はメデューサの姿になった。

「魔力、十分すぎるグリーフシードも集めた。もう足りないものは…ぐふっ…げほごほっ!」

口から血が流れる。魔力で補ってきた私の肉体も既に限界が近づいているんだろう。けどそんなことはどうでも良い。私は、あの時からこの歪んだ世界を終わらせるため、自分の身体と心を騙し続け今日まで戦い続けた…もう迷いなんてない。

私が終わらせるんだ…そしてまたはじまる、新たな世界の為に−−−。


「さぁ…絶望しなさい!この世界に生きる人間たちよ!!…う、うあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


・・・

「っ!この感じ…今まで以上だ!杏子ちゃん!!」
「やばいぞハルト…メデューサの魔力っていうのは一発でわかったが今までとは段違いだ!!」

「どうしたの?ハルト、キョーコ」

「ゆまちゃん、ここで待ってて!」
「くそっ…いいか、絶対に外に出たらダメだからな!?絶対にだぞ!!?」

「えっ、ちょっと待って!!」





それは何も前触れが無く突然起こった。




俺たちは ゆまちゃんを残し大急ぎでマンションを飛び出した。近くにいるわけではないが…とてつもない魔力の波動を俺たちは感じ取った。魔力が放たれている方角へと身体を向ける。5キロ以上先にある高層ビルの屋上から魔力波が放たれているのを目撃した。ここまで届くとは…俺たちは息を飲んだ。

「ハルトく~ん!!」
「佐倉杏子!!」

「まどかちゃん!」
「ほむらっ!」

俺たちがビルに向かって走っている途中、別方向からやってきた まどかちゃんと ほむらちゃんに合流した。二人もあの魔力を感じ取ってここまで走ってきたのだろう。

「ハルトくん、あれって!」
「俺もよくわからない、けど今言える事は一つ、メデューサが何かしようとしていることだけだ」

「くそっ!なんでこんなタイミングでっ……お、おいあれ!!」
「っ…まさか」

杏子ちゃんが高層ビルに向かって指を差す。俺はその指の先を見た瞬間、メデューサが何をしていたのか瞬時で理解した。
「ひっ…そんな…」
「まさか…メデューサの奴、ファントムを生み出しているのか!?」
ビルの傍で黒い物体が無数に漂っていた。よく目を凝らすと、異型の姿をした物体、幻影魔女が何体も漂っていた!!
そう…メデューサはビルの近くにいた人間を容赦無くファントムへと変えていた!!

「やばいっ!このままじゃ見滝原に住んでいる人達がファントムに変えられる!!皆、急ぐぞ!!」
「『フレイム』プリーズ!『ヒーヒー!ヒーヒーヒー!!』」

「許さねぇ!!どこまで非道な事する女だ!!」

俺はウィザードに変身し、杏子ちゃん達も魔法少女の姿へと変身する。肉体が強化された俺たちは屋根の上へと飛び移り、常人を超えた脚力で一気に高層ビルの元へと向かう。近づいていくにつれて悲鳴が聞こえてくる…人間が無理やりファントムに変えられている姿と一緒に…。

「ひゃぁっ…あう…」
「まどか、あまり周りを見ていては駄目。前だけ見ていなさい」
「で、でも ほむらちゃん!」
「メデューサを止めない限り、何をしても無駄よ」
「っ!!…くぅ…」

「ハルト!今度こそあの女を止めるぞ!」

「あぁ、これで全てを終わらせる!待っていろ、メデューサ!!」


・・・

「キョーコ…ハルト…どこいったの?」

二人とも、私に何も言わずにどこかに行っちゃった。どうして?なんで?
ハルトは言った…もう一人にしないって。
キョーコは言った…絶対に守るって。


「ゆま は…また一人ぼっちになっちゃうの?やだ…そんなの嫌だ!!」

だって二人とも ゆま を守るって言ってくれたじゃない!!
なのになんで?
なんで ゆまを一人ぼっちにしちゃったの?

やだよ、もう一人は嫌だよ!!


「うっひぐっ…まさか、…ゆま が役に立たないから?だから ゆまを置いてどっかにいっちゃったの?」

だったら…ゆま が二人の傍に行くんだ。
置いてかれるなら、今度は ゆまが追いかける。

「待ってて、キョーコ。ハルト!」


・・・


「はぁっ…はぁっ…くそ!こんなにファントムが…」

ビルの目の前に広がっていた光景、一般人は既にこの場にいなかった。変わりにそこにいたのは人間たちが変わり果てた姿、大量のファントムだった。

「ファントムでも、こいつらは魔女程の魔力を持っていないみたいね、せいぜい使い魔程度かしら」

「え、ほむらちゃん?」
「行きなさい…」

ほむらちゃんが俺たちの目の前に立ち、盾からアサルトライフルを取り出しマガジンを装填した。どうやらこの大量のファントムを一人で相手するみたいだ。
「ほむらちゃん!」
「勘違いしないで操真 ハルト。これはあなたの為ではない。これ以上ファントムが増えてはこちらにとって不都合なだけよ」
「でもいくらなんでもこの数のファントムを一人で相手するなんて危険すぎるでしょ!」
「あなたは誤解してるわ」
そう言い切った瞬間、ほむらちゃんは俺めがけて銃を乱射してきた…いや、正確には俺の後ろに這いよっていたファントム達を打ち抜いた。
「私はあなたが思っている程、非力では無い」

「ほむらちゃん…」
「行こうハルト、私達はあいつを止めなくちゃならない。ほむらには悪いが…」
「っ…わかった。ごめん、ほむらちゃん!」

「ほ、ほむらちゃん!」
「まどか、あなたも行きなさい、ここは、くっ…危険よ」
「でも!」
「私なら大丈夫、それに今の操真ハルトと佐倉杏子にはあなたが必要なの」
「えっ…それっとどういう…」
「説明は後よ、さぁ行きなさい!」



ほむらちゃんが作ってくれた突破口を抜けて俺たちは屋上へ向かって走った。ビルの中に突入するとそのフロアには既に沢山のファントムが存在していた。
「一匹一匹相手してる暇はねぇ!一気に行くぞ!!」
「私が援護するから、二人は走り続けて!」
「まどかちゃん!後ろは任せたよ!!」
まどかちゃんから放たれた矢は百発百中で俺たちの前に立ちふさがったファントム達を次々と消滅させていった。まどかちゃんはその度に悲痛な表情をしていた。彼女の気持ちもわかるけど、今はそれどころじゃない。問題はこれ以上被害を増やさないことだ。

「くそっ!エレベーターが止まっていやがる!」

「だったら自分達で道を作るまでだ!!」
「キャモナシューティングシェイクハンズ!『フレイム』シューティングストライク!」

エレベーターのドアを破壊し、足に魔力を集中して壁ジャンプを繰り返し一気に屋上を目指す。まどかちゃんには厳しかったのか杏子ちゃんが手を引きながら俺の後に続いた。
「ふっ、はっ!あともう少し!」
「杏子ちゃん、大丈夫!?」
「へへっ朝飯前だ!それよりまどか、お前体重増えたか?」
「ふぇっ!?ちょ、ちょっとぉ!!」
流石に壁ジャンプはかなりの魔力と体力を使うな…疲労が一気に溜まっていく。ようやく屋上に続くエレベーターの出口が見えたとき、そこに突っ込むように体当たりをした。

「はぁっ…ごほっ…やっと着いた…」
作品名:Wizard//Magica Wish −11− 作家名:a-o-w