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【かいねこ】モノクロ/カラー

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「ほら、じっとしてて」

カイトはいろはの唇に紅を引くと、鏡を向ける。

「綺麗だよ。この色だと、いろはも大人っぽく見えるね」

いろはは、鏡からカイトへと視線を移した。カイトは悪戯な笑みを浮かべ、

「ん、気にしないでいいよ。いろはへのプレゼントだからね。それに」

顔を近づけ、軽く唇を触れ合わせる。

「少しずつ返してもらうから」

いろはのぼんやりとした視線が、カイトの顔に向けられた。

「・・・・・・何色なの?」
「え?」

唐突な言葉に、カイトは戸惑う。
いろはが自分から口を開くのは、これが初めてだから。

「色が、分からないの。あの日から、色が」

焦点のあわない瞳が、まるで彼の罪を問い立たしているようで。
錯覚だと分かっていても、カイトは目を逸らすことができなかった。



カイトが塔の階段を下りてくると、夕焼けの中に醜悪な陰が揺らめく。

「ああ・・・・・・いらっしゃったんですか」

肩を竦めて、主人の前に立った。

『随分、時間を掛けているようだが?』
「あの子、心が壊れてますよ」
『知っている』
「だったら、こちらの苦労も分かって貰いたいですね。どうやって契約しろと・・・・・・うわっ!」

最後まで言い終わらない内に、肩に衝撃が走る。たまらず膝を突いたカイトに、魔物が覆い被さるように身を乗り出した。

『それを考えるのが、お前の役目だ』
「・・・・・・分かってますよ。もう少し時間をください」
『永遠には待たないぞ』
「分かっています」

魔物はカイトから離れると、

『永遠には待たないぞ』

もう一度繰り返して、夕焼けの中に溶けて消える。
カイトは主人がいなくなったのを確かめてから、立ち上がって塔を仰ぎ見た。


・・・・・・自分の命の方が大事だ。