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Wizard//Magica Wish −12−

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………

見滝原市の郊外にある開発地区。まだこの地区は開発途中で無数の建設途中のビルと業務時間を過ぎたため乗り捨てられたダンプやショベルがある。そこに一人の少女が空を見上げていた。時刻は日にちが変わる頃の深夜、無数の星が光輝いていた。

「…この世界は酷く濁っている。もう終わらせなくてはいけない」

少女、いやミサは懐から懐中時計を取り出し、蓋をあけた。時計は正確に時を刻み止まることなく動き続けている。


「いくら邪魔されても私は決して止まらない。ここまできてしまったのだから…」

「探したぞ、メデューサ…いや、ミサ」

「っ…あら、あなたは…」


ミサが後ろを振り向くと杏子が立っていた。杏子はミサから流れる魔力の波動をたどってここまで辿り着いたのだ。ミサは振り返り杏子を見つめる。彼女の瞳は既に戦闘体勢だ。ここで自分と戦うつもりなのだろう。

「こんな時間まで私を探すなんて…よほど仕事熱心なのね」
「うるせぇ、御託は良い」

杏子は魔法少女の姿に変身して槍をミサに突きつけた。

「いつも傍にいるお仲間はどうしたの?まさか…あなた一人で戦うつもりなのかしら」

「あぁ、そのとおりだよ。ハルトの変わりに、私があんたを倒す。そして…二度とハルトが戦わなくて済むようにな」

「全員揃ってでも苦戦していたくせにあなた一人で?良いわ、面白いわね」

ミサはいきなりフェニックスの姿へと変身した。おそらく本気なのだろう。身体から炎を湧き出し、周りの温度が急上昇する。杏子の額に一滴の汗が流れた。

「もうあたしは迷わない…あたしが今まで生きてきた理由がやっと見つかったんだ。だからここで終わらして見せる…行くぞ!!フェニックス!!」

「やれるものなら…やってみ…っ!!?」

瞬間、一筋の赤い閃光がフェニックスへと降り注がれた。
フェニックスはどこからともなく大剣を取り出し、その閃光を精一杯ガードした。
杏子の瞬足の槍が振り下ろされ、槍と剣がぶつかり火花が散った。

「くっ…まだ体力が回復してないというのに、どこにこの力が!?」

「ぬぅっうっ…あぁぁぁぁ!!!!」

杏子の槍が無数に中に舞う。あまりの速度で残像が見えるぐらいだ。フェニックスはそれを全て受け流す。だが反撃の時間を与えられないかのように次々と杏子はフェニックスに攻撃し続けた。

「何故そこまでっ…あの指輪の魔法使いの為?」

「ふんっ…うっ…うらぁぁぁ!!」

「っ…くだらない…くだらなさすぎる!!」

フェニックスは杏子の槍を大きく弾き、距離を取った。

「あなたは…そこまであの男を愛しているとでもいうの!?あの指輪の魔法使いの為に己の命を投げ捨てるとでもいうの!!?」

「わかんねぇ…そんなの体験したことないからわかんねぇよ!けど、私はハルトのことがほおっておけないんだよっ」


杏子は槍を大きく振り回し、地面に突きつけ、自分の胸元に手を置いた。


「私は…ゆまを守ると決意した。でもそれと同時に…あいつもっハルトを守りたいって思っていた!!でも、ゆまはお前に殺された。だからっ…ハルトだけでも!!ハルトだけでもこれからもずっと生き続けてほしいんだ!!」

再び杏子が一気に距離を詰め槍を振り下ろした。

「最初あったときから、私はあいつのことが気になってさ!そしたら成り行きでずっとあいつの傍に居ることになった!マミの奴が永遠の眠りに着いたときでもあいつは私の傍にずっといた!さやかの事を一生懸命に自分のことに悩んでいるあいつにっ!私はもっとハルトと一緒に居たいと思ってしまった!それにハルトはっ!窮地の私を助けてくれたんだぁぁっ!!」

「っ…何を!」

「ハルトがあの時私を助けてくれなかったら、こんな沢山な出来事や経験もすることもなかった!ハルトは教えてくれたんだ!!人間として忘れていた何かを、再び私に教えてくれたっ!!」

「うっあぁっ!!」


杏子の鋭い槍の先端がフェニックスの身体に切り刻まれ、何歩か後ろに引いてしまった。

「はぁっ…はぁっ…」

「うっく…くだらないっ!!そんなことの為に自ら死を早めるなんてっ!!やはりあなたは目障りよっ!!いい加減くたばりなさい!!!!」


フェニックスの背中から大きな炎でできた翼が広がり、辺りを豪炎の海へと化した。

しかし、杏子は後ずさりすることなく、再び戦闘体勢になる。
そのとき、彼女のソウルジェムが真っ赤に光り輝いた。


「あたしの前からは、もう誰も死なせやしない…うぅっ…もう誰も!!辛い思いはさせない!!」

「だったら、私を倒してみなさい!!その思いが、どれほどのものなのかっ!!私に教えて頂戴!!」



「うぅ!!…負けるもんか…もう、絶対負けるもんかっ!!」

ゆま…ごめんな。
守ってあげられなくて。

あたしはバカだから戦うことしかできない。

お前の敵を取ることぐらいしかできないんだ。

そして、ハルト…今、どこにいるんだ?
安心しろ、もうハルトが戦わなくても良いように…ここでこいつと蹴りを付ける。


「頼むよ神様ぁ…もう一度…私に奇跡をっ!!!!」
「っ!!?」

フェニックスは驚いた。その瞬間、杏子のすぐ隣に「もう一人の人物」が現れた。
徐々にシルエットが明確になっていく…それは、姿が全く同じの佐倉杏子だった。
自分の見間違いだろうか?
いや…一人だけではない!
次第に2人から4人、4人から8人…まだまだ増えていく!!

「まさか…これはあなたの魔法?」


「はぁ…はぁ…

『ロッソ・ファンタズマ』!!」

その時、16人に増えた杏子が一斉にフェニックス目掛けて突っ込んでいった!フェニックスは一人目の杏子の槍をガードしたが次々と別の杏子の槍が自分の身体へと振り下ろされた!!

「あぁぁぁっ!!!!くっ、実体を持った分身だというの!!?」
「悪いな、あんたの目の前じゃ一度も魔法を使っていなかったな!!いくら倒しても無駄だ!分身はいくらでも増やせる!!あっ…」

一瞬、身体がよろめく。
フェニックスは自分の分身に任せ、杏子はその場でしゃがみこんでしまった。

ソウルジェムが一気に穢れが溜まる。

このままロッソ・ファンタズマを使い続ければ間違い無く後がなかったのだ。
この魔法は杏子の最後の剣でもあった。

「あっ…く、やばっ…やっぱ自主規制してたのがまずかったかな…でも!!」

再び身体を起こし、自分もフェニックスへと突っ込んでいく。
分身の何体かがフェニックスの翼の豪炎に焼かれ消滅していく、しかし杏子も負けじと消された分だけ分身を作り、さらに沢山の分身を作り出した!

「きゃああっ!!うぐっ…倒しきれなっ…あぁぁっ!!!!」

「ふんっはぁぁっ!!」
「やぁぁっ!!」
「これでどうだっ!!」

杏子の分身は焼かれることを恐れず何度も何度もフェニックスを切り刻む。流石のフェニックスも大量の杏子相手には歯が立たなかった。次第にフェニックスの身体は切り傷が目立つようになり、大剣を振る強さも弱まっていく。確実に効いている証拠だ。

「うぐぐっ…まだまだぁぁぁぁぁ!!!!あっ…」

作品名:Wizard//Magica Wish −12− 作家名:a-o-w