Wizard//Magica Wish −12−
・・・
それは、突然の出来事だった。
普段の日常を過ごす私の目の前に現れた、お腹を空かせてベンチに座っていた男。
私は驚いたさ。
突然、何の前触れもなく気がついたらすぐ後ろにいたんだ。ハルトがな。
財布をなくしてハルトは生気を失っていた。
私はハルトから何か食べ物はないか…と問いかけられ、たまたま持っていたドーナッツをハルトに渡した。
それが、私達の出逢いだった。
奇妙だったよ。
どんな奴なのかわからないのにさ?変だろ?
お前を最初に見た瞬間、感じたことのない気持ちが胸の中で高鳴った。
最初はそこまで意識をしていなかったけど、ハルトと一緒にいる時間が増えるにつれて少しずつだが、気がつけば私はハルトの事を見ている時間が増えていった。
覚えているか?
マミが眠った時、ハルトは大声で泣く私の頭をずっと撫でてくれていたことを。
覚えているか?
さやか の病室を後にしたとき、私が言った事。
ずっとあたしの傍にいてくれ
無意識に私はこんなことを口にしていた。
けど、そんな私にハルトは頑張ってみるよ、と返してくれた。
馬鹿だよな…自分からハルトの傍から逃げていった癖にさ。
全部ハルトが教えてくれたんだ…。
周りにいる友達の大切さ。
人を愛するということ。
全部、ハルトに出会わなかったら知りもしなかったことばかりだ。
そう、それは全て…
・・・
作品名:Wizard//Magica Wish −12− 作家名:a-o-w