Wizard//Magica Wish −12−
………
「はぁっ…はぁっ…」
目がかすむ。俺は今何処を歩いている?周りにはコンテナがたくさんある…塩の匂いが微かにする…そうか、俺は港にある工場地帯にいるのか。
「エラー」
「あっ…」
ウィザードの変身が魔力切れの為、強制解除されてしまい、ハルトは大きなコンテナに腰を掛けた。身体の神経の感覚が麻痺し、急に眠気が襲ってくる。身体が睡眠を欲している証拠だ。
「ははっ…魔法使いすぎちゃったな……うぅっ…」
駄目だ…瞼を閉じたら俺は間違い無く眠ってしまう…。
やばいな…眠気の感覚が間違いなく早くなっている。
魔法の連続使用とここ最近のソウルジェムのウィザードリング化がこの症状の進行を早めているんだ。
全て、インキュベーターの言うとおりだ。
さっき、ゆまちゃんのソウルジェムをウィザードリングに変えた時に確信を得た。
俺の魔法は間違いなく強くなっている。
ハリケーンスタイルの治癒魔法に飛行魔法。最初は絶対に使えなかったであろう魔法が今では使用できる。
それと同時に魔力の消費が早くなっているのを感じた。
このまま俺は、魔法を使い続けると…
「魔女化、しちゃうかな」
あと一度でも、ソウルジェムをウィザードリングに変えてしまえば俺に未来はきっとないだろう。そこまでして、俺は戦い続けるのか…。
−お前は運命から逃れられない−
まただ…またこの声だ…。
夢の中で現れる…もう一人の「俺」
もう一人の俺は一体何者なのだろうか…。
俺の、何を具体化した者なのだろうか…。
意識が遠のく…。
また……夢の世界へと入り込み…
この世界との繋がりが消えた……。
作品名:Wizard//Magica Wish −12− 作家名:a-o-w