Wizard//Magica Wish −12−
………
「ここなら大丈夫ね」
まどか は ほむらに連れられて公園に辿り着いた。周りには野鳥すら見当たらず噴水の音が辺りに響いていた。
「ほむらちゃん…」
「まどか、あなたに真実を受け止める覚悟はある?」
急に彼女の口から出てきた言葉、もちろん まどか自身には全てを受け入れる覚悟なんてものは無かった。状況が掴みきれていないからだ。
ただ、まどか は真実を知りたかった。それだけなのだ。
「うぅん…私は ほむらちゃんみたいに全てを受け止められる覚悟はないよ…けどね、解決方法ならいくらでもあると思うんだ。この世界に越えられない壁なんてないからね」
「なら…あなたに全てを話すわ」
ほむら は髪をなびかせ噴水の周りを歩き始めた。まどか はそれに続いて歩き始めた。
「もし…もしよ…まどか はこれから起きるであろう運命が既に決められていたとすれば…あなたはどうする?」
「………逆らいたい。運命なんて、誰にも決められないし、誰にもわからない」
「そう……でも、仮に…目の前にいる人物が『未来』から来た…これから起こる出来事を知っている人物だとすれば…あなたは信じる?」
「えっ…それって…」
「あなたが思っている事……その通りよ」
まどか は ほむらの言葉を聞いた瞬間に立ち止まった。ほむらは歩き続ける。そして 噴水の間に立つように まどかの方向へと振り向いた。お互い、噴出されている水に隠れて微かにぼやけてみえる…噛み合うことのない歯車のように…。
「ほむらちゃん…嘘だよね?」
「私の魔法は『時間操作』…私が瞬間移動をしているかのように見えているのは周りの時間を止めているから…これ以上話さなくても理解できるでしょ?」
「そんな…ほむらちゃん…未来から来たの?」
「……えぇ。本当はこの事を話すつもりは一切なかった…けど状況が状況なのよ」
ほむら は驚きのあまり思考停止している まどかに構うことなく話し続けた。
「私はこれから起こる事を知っている…その前に、操真ハルトという存在の真実をあなたに伝えなくてはいけない」
「…あっ…」
「…はぁ…まどか。急に未来から来た事を話したのは謝るわ。けど、今は一大事なの…お願い、私の話を聞いて」
「そ、そうだったね…ごめん、ほむらちゃん…それで、ハルトくんの事だよね?」
「えぇ…良い?落ち着いて聞いて」
ほむら はまどかの元へと移動し、噴水の淵で腰を下ろした。まどか もそれに続き腰を下ろす。ちらっと隣りを見ると ほむらの整った顔が目に映った。しかし、今の彼女の表情は普段の凛々しい表情ではない。微かに冷や汗をかいているみたいだ。それほど重要なことなのだろう。
「ほむらちゃん…私はもう大丈夫、教えて…ハルトくんの事を」
「ありがとう、まどか…」
作品名:Wizard//Magica Wish −12− 作家名:a-o-w