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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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美女とディナータイムとスプラッター・ムービー 02




「う、わわわっ!!」
絶世の美女から醜悪な怪人への想像を絶する変化。
たまらず真倉は悲鳴を上げる。
「・・・・・・っ!」
翔太郎はなんとか踏み止まるがそれでも嫌な汗が止まらない。
「い〜わね〜。そのリアクション。ホラー映画の主人公たちは怪人に怯えてナンボじゃない? あんたたちもやっと役者らしくなってきたってところかしらぁ?」
料理の怪人、柏木多香子は嬉しそうに舌なめずりをする。
「さて、それじゃあ愉しい愉しい晩餐会を始めましょうか!」
そう言ったかと思うと、何も持っていなかった柏木の手にある物体が精製される。
無から有を産み出す。
その手に作られたのは皿に盛られたグリーンサラダだった。
「まずは前菜からだよ! おら、喰らいな!!」
ひゅん。
柏木は短い音を立ててサラダを投げる。
「! やばい、逃げるぞ!!」
「ひ、ひぃっ!!」
直感的にグリーンサラダを危険物と判断した翔太郎は真倉に逃げるように促す。
ビビリながらも真倉はその翔太郎の呼びかけに応ずる。
ジュワワワ〜。
グリーンサラダが着地したところ。
そこにはバケットボールサイズのクレーターが、
「って、なんでだよ!?」
「料理じゃないのか!?」
もっともな疑問を口にする二人。
何故、見た目ただの料理が永田のプレスメモリの圧迫攻撃と同じ戦力を持っているのか。
「ごちゃごちゃうるせーんだよ!!」
柏木はグリーンサラダを、今度は両手で精製し投擲する。
「うおっ!」
「ひゃっ!」
それを紙一重で避ける翔太郎と真倉。
ポトン、ドカァァァン!!!
今度は地面に落ちたと同時に爆発が起きた。
「なっ!?」
「ぐお!?」
紙一重で避けてしまった二人は爆風で吹っ飛ばされる。
「バカな、さっきは酸で溶かしたような攻撃だったのに・・・・・・っ!?」
「同じグリーンサラダなのに、今度は爆発だと〜・・・・・・?」
「あははは! そう、これが私が使うクックメモリの真骨頂! 美味しくできたグリーンサラダを酸にも爆弾にも出来る!! ―――名付けて、トリッキー・サラダ!!」
「名付けるなっ!!」
「くそ、もうどこから突っ込んでいいのか分からないっ!!」
なんかもう、いろいろと突っ込みがままならない二人。
段々別の意味で体力が消耗してきた。
「・・・・・・でも、これではっきりした。やっぱり柏木さん・・・・・・いや、柏木は敵ということだったんだな」
コンクリートを溶かすほどの酸攻撃。
爆風で人が吹っ飛ぶほどの爆弾攻撃。
真倉は柏木が放つ攻撃を喰らい、ようやく彼女を敵だと認識した。
そんな真倉に頷く翔太郎。
「ああ、そういう事だよ、マッキー。捜査のときに持ってきたあの毒料理も俺達の体力を失わせるためのトラップだったってとこだな!」
翔太郎はどこまでも敵意をこめた眼差しで柏木を睨みつける。
その鋭い視線を受けた柏木は、

「はぁ? 何言ってんだ、テメー? ありゃ私に気を許すよう油断させるためにつくった絶品料理だろうーがよ」

きょとんとしていた。

「・・・・・・へ?」
「・・・・・・え?」

今度は柏木の予想外のセリフに翔太郎と真倉がきょとんとする番だった。
そんな二人に、柏木は構うことなく話を続ける。
「私が演技とかが超絶うまくてもさぁ、きっとどこかに綻びが出ると思ったわけよ」
「「・・・・・・」」
「でも私はお前らに正体をバレるわけにはいかない。だってこれは私とあのお方だけの秘密の任務なんだから」
「「・・・・・・」」
「悩みに悩んだ末、私は一つの結論に行き着いたわ」
「「・・・・・・」」
「私の得意科目、―――つまり料理しかない、ってね!」
「「なんでだよ!?」」
同時に突っ込む翔太郎と真倉。
どうやらこの柏木という女、あの劇薬を真っ当な料理であると勘違いしていたらしい。
「んだよ。オメーらだって美味い美味いって食っていたじゃねーか」
柏木は肩をすくめる。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
まぁ確かに言いましたケド、とその先の言葉が出ない翔太郎と真倉。
「あの探偵事務所にいたガリ勉の坊やなんか、痙攣しながら喜んでいたぜぇ〜? あいつだけは私の色香に惑わされていない感じだったからなぁ。ま、私にかかればこんなもんって感じ?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ふ、ふんっ! も、もう欲しいって言ったってあげないんだからねっ!」
何故かちょっと弾んだ調子で柏木は言った。
「「いえ、もう結構です」」
それに二人は声をそろえて即答した。重々しい調子で。
「まぁ、とにかく! あん時はまあまあ楽しかったけれど今は敵同士ってわけよ! だから残念だけど、―――ちょっとそこの床のシミにでもなっとけやゴラァァア!!」
ヒュン。
と音を立てて柏木はモノを投げる。
投げられたモノは、鉄板に乗ったステーキだった。
ポトン、シュウウウ。
床に落ちたステーキは今度は地面を溶かさず、爆発もしない。
ただ紫色の煙を吐き出し続けていた。
「! 今度は毒の霧だ! 呼吸すんなマッキー!」
「おうよ!」
「おら、どんどん行くよ!」
ヒュン。
ポトン、グググッ・・・・・・っ!!
「! この殻付きの甘栗は多分針が伸びる! 伏せろマッキー!」
「おっけい!」
しゃこん!
甘栗の殻の針部分が剣のように伸びる。突っ立っていたら無数の風穴が空くところだった。
「・・・・・・へぇ。もうクックメモリの攻撃に対応できるってわけ」
柏木は少し怒気をはらみながら呟く。
「へっ、当然! このハードボイルド探偵・左翔太郎様をナメンなよ!」
状況から料理の効性を推測し、それに沿った回避法で攻撃を悉く避ける翔太郎。
トリッキーな戦法を得意とする彼ならではの回避法だった。
「やるじゃないか、探偵! 見直したぞ!」
「・・・・・・マッキーに見直されてもなぁ・・・・・・」
「おいコラ!?」
「・・・・・・ふん。そんな軽口いつまで続くかしら。私は長時間料理を生み出す自信があるけれど、―――お前らはどうかしら?」
軽口を叩き合う二人を値踏みするように柏木は問う。
「相手の攻撃がどんなものかを判断してそれに応じて回避する。・・・・・・これって言うほど楽じゃないわよね。ふふふ、何発目でミスをするか見物だわ」
「・・・・・・っ!!」
自分の回避法の弊害をあっさり看破される翔太郎。
(やっぱドーパント相手に長期戦は無理、か・・・・・・)
嫌な汗が流れる。
「くそ、毒料理をつくるメモリと毒料理が出来てしまう人間なんて、この上ない相性の良さじゃないかっ!」
状況の不利さに真倉はついつい弱音を吐く。
「ああ、しかしなんで毒の料理なんだ? ミュージアムは一体何を考えてこんなメモリを、」
「私が聞いた話じゃこのクックメモリは普通の料理をつくれるガイアメモリだったそうよ」
柏木は特に気にした様子もなく、衝撃の事実を口にする。
「「・・・・・・は?」」
声を揃えて驚く二人。
「あのお方の話だと、このメモリだけはサイレント・キーパー内で唯一リジェクトメモリではないメモリで、ドーパントの長期作戦を考慮したときの補給的働きをするメモリだとか。本来は栄養満点で美味しい料理をどこからともなく精製できるだそうよ」
「本来は、だと・・・・・・?」
「ま、さか・・・・・・っ!」