Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)
その姿はあまりにも弱々しく、あまりにも哀れだった。
そんな恥も外聞もなく絶望で弱りきった宮部に。
「何ができるか、とかじゃない!」
風都署きっての二枚舌は、弱者である宮部の胸倉を掴み檄を飛ばす。
「・・・・・・な、に?」
さっきまで恐怖で歯の根が噛み合っていなかった青年がここへ来て打って変わった態度をとる。
自然と宮部はその青年のほうへと意識が向く。
真倉は言葉を続ける。
「問題なのは何ができるかじゃない。何をすべきかだろうがっ!! ・・・・・・お前が一体何に自分の半生をつぎ込んで来たかなんて知らない! というか知ったこっちゃない! ・・・・・・しかし、お前が『人を救うこと』にいろいろな代償を支払ってきたことは、今のお前をみれば俺でも分かる!」
俺たちと同じ目をしているからな、と真倉は付け加えた。
「・・・・・・」
宮部は、ただ黙って真倉の顔をみる。
「確かに、お前のやり方は間違っている。しかし、だからと言ってお前の今までの在りかたまで否定するのは間違っている! 自分の過ちに気づいたならば直せばいい。罪があるというのならば、正当な罰を受けろ。そして、身についた垢を全てをおとしたなら、」
真倉はすーっと大きく息を吸い、
「もう一度イチから出直して来いっ!! この、大 馬 鹿 者がーーーっ!!!」
風都中にまで響き渡るような、大声量の一喝をした。
作品名:Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW) 作家名:ケイス