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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 8

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 陥没した穴の階段を下った先には遺跡になっていた。それもそこらの遺跡とはわけが違う、古代の、いや、最早超古代の遺跡である。恐らく錬金術があったころか、もしくはそれよりも更に前か。
「あれを見て」
 シバは指差した。その先には宙に浮かぶ不思議な部屋があった。
「あそこから力を感じる、きっとあそこに何かある」
「そうは言っても、なあ」
 シンは苦笑した。何せシバの言う部屋は宙にあるのである、一体どうやって近づけばよいのか。
 しかもその下は真っ暗な空間が広がっている。底が見えないほど高いのだ、おかしな真似をして落ちでもしたら間違いなく命はない。
「どうやって行くってんだよシバ?」
「それをこれから探すのよ。ここまで来たんだから絶対にあの部屋に行くわよ!」
 シバは諦める気などさらさら無いようだった。「さあ、行くわよみんな!」
「へい、へ〜い…」
 仕方なくガルシア達は先へ進むことにした。最早シバを止める事は絶対に不可能だった。
 遺跡の謎はかなり難解であった。スピンストーンを駆使して障害物をどかしたり、足場の位置を変えたりもした。壁の穴から吹き出すガスを岩でせき止めたり、『プレス』で突き出る杭を打ちつけてスピンストーンの竜巻が真っ直ぐ進むようにもした。
 進むうちに道が途切れた場所に差し掛かった。杭に括りつけられた綱が真っ暗な空間へ垂れ下がっていた。
『リリース』
 ガルシアがカンドラで手に入れたエナジーを発動し、垂れ下がる綱を向こう側の杭へ飛ばした。「よし、しっかり引っかかってる。渡るぞ」
 ガルシアは綱を引っ張って確認した。
「ええ〜、また綱渡り!?」
「また這っていけばいいじゃない、ジャスミン」
 シバはニヤニヤして言った。
「嫌よもう!」
「だったらそこで待ってるか?」
 ガルシアは言った。
「…意地悪」
 まず最初にガルシアが渡った。カンドラの時同様体制を崩すことなく渡りきった。続いてシバが行った。これもまた綺麗な姿勢で余裕な様子で渡ってしまった。次にシンが渡った。さすが忍者と言える物凄いバランス感覚をしていた。余裕を見せてスキップで綱を渡り、綱から降りる時反動を利用して見事な一回転で着地した。
「へへん、楽勝、楽勝!」
「ほら、早く来なさいよジャスミン!」
 やはり残ったのはジャスミンのみだった。
「…だからどうしてみんな行けるのよ」
 今回はカンドラの時とは段違いだった。高さもさることながら、下の方に広がる暗闇では風が唸っていた。それが化け物の声のようにも聞こえる。ジャスミンの足はすっかり竦んでしまった。最早這っていくのも難しかった。
「ああもう、じれってえな!」
 シンが痺れをきらして綱の上を駆けてきた。
「やっ、ちょっと何するのよ!?」
 シンはジャスミンを抱きかかえた。
「うるせえ、怖くて渡れねえんだろ?しっかり掴まってな」
 シンはジャスミンを抱きかかえたまま綱の上に足を掛けた。シンの体を伝って綱の揺れが伝わってきた。
 ジャスミンはただ固く目を閉じてシンの体にしがみつくしかできなかった。
「あ、大変だ。急に強い風が!」
 シンは面白がって綱をわざと揺らした。
「きゃあ!止めてよ!」
 アハハハ、と笑ってシンは綱を揺らし、ジャスミンにきゃあきゃあ言わせ続けた。
「おい、シン、ふざけるのも体外に…」
 ジャスミンが虐められているのにたまりかね、ガルシアが言うと異変に気が付いた。
「シン、後ろ!」
「何!?」
 後ろで綱を支える杭が折れかかっていた。最初から脆くなっているように見えたが、シンが遊んだせいで更に崩壊が進んでしまっていた。
 杭は限界を超え、バキッと折れてしまった。
「シン、ジャスミン!」
 綱はみるみるうちに暗闇へ吸い込まれていく、シン達も同様に闇へ引きずり込まれていく。
「くそっ!」
 シンはその場で高く跳び上がった。前方に跳んでいきガルシア達のいる向かいの地面に手を伸ばし、どうにかジャスミンを置くと、シンは暗闇に落ちていった。
「し、シンーー!」
 ガルシアは暗闇の広がる穴を覗き込んだ。シンの姿は見えない。
「まさか、そんな…」
 ガルシアが絶望しているとシンは綱を登って地面に上がって来た。
「よっと、ふ〜、危ねえ危ねえ…危うく今度こそ死ぬところだったぜ…」
 シンは落ちる寸前に綱を掴んでいたのだった。
「全く、寿命がこれで八年は縮んだぜ」
「シン、お前という奴は…!」
「まあまあ、そんなに怒るなよ。オレ達もこの通り無事だったんだからさ」
 まだ固く目を閉じて横たわるジャスミンにシバが声をかけた。
「ジャスミン、大丈夫?」
 ジャスミンははっと目を開いてシバに抱き付いた。
「うわ〜ん、怖かったよぉ…!」
 涙で顔をぐしゃぐしゃにしたジャスミンの傍らでガルシアの説教はしばらく続いたのだった。
 それからまたガルシア達は道を進んだ。ここから先は大して危ない道もなく、ただひたすら入り組んだ道を進むのみだった。
「なんつうか、ここって本当不思議だよなあ」
 シンは辺りを見回しながら言った。
 至る所から風の力を自身も感じるという。シンは地のエナジストであるが、忍術の一部に風を使ったものがあるため風の力を感じるのは造作もない事だった。
「シバなんてそれこそ溢れそうなくらい分かるんじゃねえか?」
 シンは訊ねた。
「そうね、もうここ自体風その物で出来てるんじゃないかと思うくらいよ」
 言ってシバは自分の手のひらを見つめた。辺りに漂う風のエネルギーを少し手に取るだけで手のひらがバチバチと電気を帯びた。
「すごいわねえ二人とも、私なんか全く分かんないもの」
 ジャスミンは感心していた。
「シバ、ここには何があるのか分からないか?」
 ガルシアは訊ねた。シバの持つ予知の力でこの遺跡には何が眠っているのか、それが分からないかと思ったのだった。
「さっき歩いてる途中でそれとなく『プリディクト』を使ってみたわ。けど何も見えないのよ」
「何も見えない?」
「ええ、何かもやもやしたものが少し見えるだけ」
 あのシバの予知能力をもってしても見えないものがこの遺跡には隠されている。一体何があるのか、それは自分達の目で確かめるしかなかった。
「きっとあの宙に浮かぶ部屋に行けば何かあるはず、行きましょう」
 シバは真っ先に進んでいった。
 シバの後を追ってしばらく進むとまたトルネードロックを発見した。その更に前の地面には巨大な精霊像が彫刻されていた。
 精霊像は目と口を固く閉じている。まるで眠っているかのようだった。
「みんな、離れてて」
 シバは仲間を下げさせると、トルネードロックの前でエナジーを発動した。
『スピン』
 トルネードロックはエナジーに反応すると空間に雷雲を作り出した。
 雲は雷鳴を轟かせ、轟音と共に精霊像へ落雷した。すると精霊像の目が開き、妖しく輝く瞳が露わになると叫び声を上げて口を大きく開いた。
 口からは強い風が吹き上がっている。吹き上がる先は空中に浮かぶあの不思議な部屋である。
「これに乗ればきっとあそこまで行けるわね」
 シバは言った。
「行こう」