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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 8

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 道が拓き、ガルシア達はその先を進んだ。狭い通路の先にあったものは上から架かる梯子であった。どうやら修行はこれで終わりらしかった。
「ここが終着か、なかなかに大変な道のりだったが、終わってしまえば呆気ないな」
 ガルシアが言い、梯子まで歩み寄ると梯子の上から大きな影がガルシアを包み込んだ。
「兄さん、上!」
「何!?」
 ガルシアはとっさに飛び退いた。同時に地面に砂埃を立てて三体の猛獣が降り立った。
 猛獣は胸を叩き、或いは牙を剥いて威嚇してくる。体躯もガルシア達の倍はある。猛獣の内の一体が側の岩を破壊した。力も相当にあるようだ。
 ガルシア達の目の前に現れた猛獣はスリッピーゴリラという魔物である。ガルシア達にとってインドラ大陸に来てから初めて遭遇した魔物であった。
「魔物…」
 スリッピーゴリラ達は今にも襲いかかってきそうな雰囲気である。逃げようにも出口は魔物達の後ろである、引き返すにしても遠すぎた。
「やるしかない…」
 ガルシアは腰のシルバーブレードを抜いた。
「兄さん、まさか戦うの!?」
「シン達がいなくなった今、もう自分の身は自分で守るしかない。ジャスミン、シバ。お前達も戦ってくれ!」
 ガルシアの剣を見た途端、一体のスリッピーゴリラ飛びかかってきた。魔物の爪をガルシアは刃で受け止めた。
「く、とりゃ!」
 ガルシアは振り払った。魔物を後ろに押し返すと同時に斬りかかった。しかし、それはかわされ、魔物の岩をも砕く拳が襲い掛かった。
『スパイア!』
 土の槍で拳を弾き返した。
『アースクエイク!』
 ガルシアのエナジーで砕けた地面の欠片が魔物を襲った。魔物はそれを受け、苦痛の鳴き声を上げた。
 ガルシアはすかさず攻撃を繰り返した。
 ジャスミンとシバは残りの魔物達と睨み合っていた。
 それぞれ手にはウィッチスタッフ、シャーマンの杖が握られている。どちらも護身用にと預けられた杖である。護身用の為、敵をこれで倒すなどという事はできない。更に相手の方が力は何倍も上である。直接対決となれば彼女達が不利なのは明白だった。
 痺れを切らした魔物達が二体同時に襲い掛かってきた。
 ジャスミン達は横に避けた。
「ジャスミン、にらみ合ってても始まらないわ。私達も戦いましょう!」
 シバは言うと振るわれた魔物の拳を飛び跳ねてかわした。元より身軽な動きを得意としており、初めて戦うとは思えない程だった。
「たあ!」
 シバは隙だらけの相手の頭にシャーマンの杖を叩き付けた。バキッという音と共に魔物にダメージを与えた。
 魔物は痛みのあまり頭を手で押さえた。見ると瘤が出来ているようだった。
「効いてる…」
 シバは確かな手応えを感じていた。
「効いてるわジャスミン、こいつ力が強いだけの雑魚よ!」
 シバは今まさに魔物の攻撃を防いでいるジャスミンに叫んだ。
「そんな事言っても…」
 ジャスミンは魔物の爪や拳を杖で受け止めるのがやっとだった。
「受け止めないで後ろに下がるのよ!」
 魔物が一際大きく拳を振り上げた。その瞬間ジャスミンはとっさに飛び退いた。
 魔物が地面を叩き付け、隙を晒している間にジャスミンは杖の先端を突き出した。
「やあっ!」
 先端は魔物の顔面に激突し、魔物は鼻血を出してうずくまった。
「ジャスミン!」
 シバが駆け寄って来た。
「やればできるじゃない!」
「さっきのは無我夢中で…、あぁ、怖かった…」
 ジャスミンはため息をついて杖にもたれ掛かった。
 魔物達は目に涙を貯めて再びジャスミン達を睨み付けてきた。
「ジャスミン、次で一気に決めるわよ」
「ええ」
 ジャスミン達は念じ始めた。彼女達の体を光が帯び始めた。同時に魔物達が飛びかかってきた。
 ジャスミン達は手をかざし、詠唱した。
『フューム!』
『プラズマ!』
 ジャスミンの手から炎が伸びていき、魔物達の頭上から雷が落ちた。
 炎や落雷の中で魔物達は叫び声のみを残し、姿形、跡形もなく消えていった。
「やったぁ!」
 ジャスミンとシバは二人手を合わせて喜び合った。
「アクアストライク!」
 ガルシアがシルバーブレードに秘められた力を解放させ、水柱を上げた。これにより魔物は雲散霧消していった。
「どうやら無事のようだな。シバ、ジャスミン」
「当然じゃない、あんなの雑魚よ雑魚」
 シバは得意気に言った。
 ガルシアはシルバーブレードを鞘に戻した。
「まあ、偶然弱い奴だったと思った方がいいだろう。この先の旅でもっと強い奴と会うことになるだろうからな…」
「平気よ、どんな奴が来たって私が絶対に倒すわ!」
 意気込むシバをガルシアは不安げな目で見る。
「シバ、無理はしないでくれよ」
「あら、ガルシアが言えたことかしら?」
 くっ、とガルシアは言葉が出なかった。自分の方が遥かに無茶な事をしてきた、そんな自覚がガルシアにはある。
 ガルシアはわざとらしい咳払いをして言う。
「とにかく、もうここを出よう。修行はここで終わりだ」
 ガルシアが上から架かる梯子に足を掛けた時だった。
「ま、待ってくれぃ!」
 慌てた様子でスクレータが駆けてきた。
「あら、いたのスクレータ?」
 シバは気にも留めない様子で言った。
「ごめんなさい、スクレータ。完璧に忘れてたわ…」
 ジャスミンは忘れた事を詫びた。
「全く、一度ならず二度までもワシを置いていこうとするなどとは…」
「すまなかった。俺も全く気付かなかった」
「なんじゃと、本当に忘れとったのか!全く、そもそもガルシア、お前は…」
 スクレータはくどくどとガルシアを説教し始めた。スクレータは妙に頭に来た様子である。加えて年寄りの話は、特に説教となるととても長い。日暮れまで説教していそうな勢いであった。
 シバはため息をついて二人の間に割って入った。
「ハイハイ、そこまで。スクレータ、黙って隠れたあなたも悪いんだからガルシアをそんなに責めるのはおかしいわよ」
「シバ、邪魔をするでない。今日という今日はガルシアにきつく…」
 シバはスクレータの口を塞いだ。もごもごとスクレータの言葉も止められた。
「ガルシア、先に行きなさい」
「あ、ああ…」
 ガルシアは梯子に足を掛けて上へ登っていった。
 スクレータはシバの手を振り払った。
「待て、ガルシア!ワシゃ絶対に許さんからな!」
 下で喚き続けるスクレータの声を後目にガルシアは思うのだった。
――今日は妙に人に怒られる日だ…――
 そしてため息をついた。
    ※※※
 ガルシア達はピポイの部屋に足を踏み入れた。
「…よくぞ厳しい修行を乗り越えここまでやって来た」
 ピポイは振り向くと仰天した。てっきり先ほど入っていった弟子がここまで来たのだと思っていたら、全くの別人だった。
「だ、誰じゃお主ら!?」
 ガルシアが答える間もなく下の弟子達が修行する間を覗く窓から外を覗いた。
「ロープは無いようじゃ…」
 寺にいる全ての人々がピポイに会いに行くのに洞窟を抜けるわけではない。急ぎの用事がある場合やピポイが下に下りる時はロープを杭に掛けて上り下りする。
 それが杭に掛かっていない。となるとこの部外者は修行の穴を抜けてきたという事に他ならない。
 ピポイは一先ず訊ねた。