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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 9

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「よし、上ってみよう」
 ガルシア達は梯子を上った。その先はどうやらガンボマ像の口のようだった。ぐるぐる巻きになった長いガンボマ像の舌があった。
「ねえ、こっち、まだ上に行く梯子があるわよ」
 シバは更に梯子を見つけた。その上はガンボマ像頭、つまり脳のあるところとなる。
 ガルシア達は更に上った。
「ここは…?」
 そこは空洞の部屋となっていた。前方にはガンボマ像の眼球らしき白い大きな玉がある。更に床には対になるように赤、青の小さな塔があり、眼球から床へケーブルがあり、それが塔へと繋がっていた。しかし、そのケーブルは真っ直ぐには繋がっていない。
 ふと外から静まれ、というアカフブの声が聞こえた。それによりドラムや戦士達の声も消える。
 これより再び祈りを捧げる、とアカフブがエナジーを発動した瞬間、ガンボマの眼球を通して眩い光が部屋中を包み込んだ。
 同時にエナジーが床のケーブルを伝って流れていく。しかし、ケーブルはあらぬ方向へ通じており、赤青二つの塔へ伝わる前に消えてしまった。
 像の外では再びガンボマ像の目が閉じていた。
「まだ駄目なのか、いやしかし更に反応が良かったような気がするぞ。よし、これから私が30数える毎に祈りを捧げるぞ。ドラムを打て!」
 再び祈りのドラムと踊りが始まった。
 再び像内部。ガルシア達は儀式が失敗していた理由を理解した。
「エナジーを流すケーブルが途中で途切れてたから失敗していたのね」
 ジャスミンは言った。
「失敗の理由がこれとは、間抜けなもんだなぁ…」
 シンは苦笑した。
「これでは一生かかっても儀式は成功しないな」
「僕の黒水晶を盗んだりするからこうなるんだ、いい気味だよ」
 ピカードはざまあ見ろ、といった様子である。
「でもどうするのピカード、儀式が成功しないことには一生あなたの黒水晶は戻ってこないわよ?」
 シバは言った。成功したところで黒水晶が無事である保障はないが、確かにこのままでは確実に戻ってはこない。全員頭を抱えた。
「ねえ」
 ふとジャスミンが提案した。
「私達がケーブルを直して儀式を成功させる手助けをしたらどうかな?」
 ガルシア達にとって思いがけない提案だった。
「まあ、確かにその方が手っ取り早いか」
 ガルシアは賛成した。
「ガルシア、冗談じゃないよ。どうして僕がアカフブのやつなんかの為に手助けしなくちゃならないのさ?僕は絶対にやだよ!」
 ピカードは顔を真っ赤にして反対した。
「まあまあ、ピカード、お主の気持ちもよく分かるが、ここはアカフブに協力すべきじゃ。考えてもみろ、アカフブはどうして黒水晶を盗んだんじゃ?」
 最早自明のことである。全ては儀式の成功の為だけに黒水晶は盗まれたのである。しかもピカードはアカフブが儀式さえ成功すれば黒水晶を帰す意志があると言うことを聞いている。しかし、このまま儀式が失敗に終わってしまったらどうなるか、怒ったアカフブが黒水晶を壊してしまう可能性さえあった。
「ピカード、お前の気持ちはよく分かる。けどここはお前が大人になって協力した方がいい。ムカつくとは思うけどな」
 シンやスクレータに説得され、何よりも黒水晶の安全を守るために、ピカードは感情を押し殺して協力する事にした。
「分かりました、アカフブに協力するのはやっぱり悔しいけど、手伝うことにするよ」
「うん、じゃあそうと決まったらケーブルを直しましょう!」
 ジャスミンが言い、一同はケーブルの修理に取りかかった。
 床のケーブルは一部が独立したパネルとなっており、それは取り外しができた。そういったパネルの向きを変えて上手くエナジーが塔に伝わるようにした。
「静まれ。我が偉大なるガンボマよ、我が捧げ受け取りたまえ!」
 ガルシア達が作業を終えると同時に外でアカフブが再び祈りを捧げた。ガンボマ像の目を通し、エナジーが床のケーブルを伝って塔へ向かう。
 しかし、青い塔へ伝わるケーブルは途中見落としがあり、間違った方向へ行き、消えてしまった。そんな中、赤い塔へはしっかり伝わった。
「あそこのパネルには全然気が付かなかったなぁ。赤いのだけだとどうなるんだ?」
 シンの疑問は外ではっきりと答えが出ていた。
 ガンボマ像の目が光った。
「おお、今度こそガンボマ様が反応したぞ!」
 次第に目の光りは赤いものに変わっていく。すると、ガンボマ像は口を開き、火を吐き出した。
 キボンボの言い伝えでは儀式の際にガンボマが火を吐き出すような事があったら、それはガンボマの怒りであり、間もなく村は災いにより壊滅するのだという。
「わあ〜!ガンボマ様が火を吹かれたぞ!」
「終わりだ、キボンボは滅びてしまうんだ!」
 戦士達が騒ぐのも当然の事であった。
「ええい、静まれ!落ち着け、ガンボマ様は儀式にお怒りになられたのではない。お前達の祈りが足りないことにお怒りになられたのだ」
 それに今のはより強い反応という事にもなる、アカフブは確かな手応えを感じていた。
「まだまだ祈るぞ、ドラムを打て!」
 戦士達は怯えながらもひたすら祈りを捧げた。
「どうやら、どちらか一方だと彼らにとって恐ろしい事が起こるみたいだな」
 ガルシアは言った。
「面白そうだから青い方も試してみないか?」
 シンはいたずらっぽい笑みを込めて言った。
「バカを言うな」
 ガルシアは間違った方向のパネルの前に行き、それを直した。
「これで恐らく儀式は成功するだろう」
「大丈夫かな、儀式が成功しても僕の黒水晶は無事でしょうか」
 ピカードは心配そうである。
「きっと大丈夫じゃ、安心したらええ」
 スクレータは諭した。
「静かになった、エナジーが来るぞ」
 外では今宵最も必死な祈りが捧げられていた。ガンボマが先ほど怒ったという事で、戦士達は怒りを鎮めるべく、必死に祈りを捧げた。
 それがアカフブの号令により止められた。
 そろそろ戦士達にも疲労の色が見え始めた。延々と祈りの踊りを踊り続けた結果であった。
 さらに、アカフブ自身のエナジーも無くなりかけていた。儀式の為に使うエナジーは一回当たりの消費量がとても多く、あまりに連続しては使えない、恐らく次が最後になるであろう。
「皆の者、よくぞ頑張ってくれた。恐らくガンボマ様はお前達の祈り、受け入れてくださろう。次で最後とする、しっかりと祈っておるのだぞ!」
 戦士達は目を閉じて念じ始めた。
『リフト』
 アカフブはエナジーで黒水晶を持ち上げた。
「我が偉大なる神、ガンボマよ。我が捧げ、受け取りたまえ!」
 エナジーが発せられ、像の内部にも流れた。赤、青どちらの塔にもエナジーは伝わった。
 ガンボマ像の目がゆっくりと開き、その口を開いた。黒水晶を吸い込むと同時に長い舌をアカフブに出してきた。アカフブを認め、自身の内部へ招き入れるという事である。儀式はついに成功したのだ。
――やった、遂に成功したぞ!――
 手放しで喜びたい気持ちを一先ず抑え、アカフブは平静を保った。
「皆の者、よくやった。ガンボマ様は我々の祈りを受け入れてくださった。これより私はガンボマ様の招きに従い、ガンボマ様の内部へと行く。お前達はしばらく待っているのだ」