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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 10

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 ロビンは無防備となるヒナの着地の瞬間を狙って剣を振った。ヒナは少しでも足が地に着いた瞬間すぐさま飛び退いたが、肩に軽い新たな傷を作った。
 傷口は浅く、ヒナは目もくれなかった。構えたまま一心ににロビンを見続けていた。
 ヒナは刀へ気力を込めた。すると刀から閃光が放たれた。
――奥義…――
 ヒナは瞬間に残像を残しながらロビンの周囲を攻撃を加えつつ駆け抜けた。その軌跡は星を描いていた。
「瞬星刃!」
 ヒナが刀を納めると星形の軌跡が閃光を放った。
 一連の動きはかつてロビンとリョウカの戦いにおいてリョウカが使用した『炎瞬刃』に似ていた。相手の周囲を瞬時に駆け抜け攻撃し、その軌跡は星を描く所も同じである。違っている所は火があるかどうかである。
 リョウカの使う『炎瞬刃』はこの技を彼女なりに工夫した技であった。自身の得意とする炎を上手く利用した強力な技である。
 『炎瞬刃』の元となったヒナの技もそのあまりの速さに回避する事など不可能だった。まして、全て受け止めるなどということは到底不可能である。
 ヒナは確かな手応えを感じていた。ロビンを己が手で斬り、死に追いやった絶命の手応えを。
 倒さなければならなかった。倒さなければ、自分が殺されていたのだ。いや、それだけならばまだいい、最早ただの人殺しと化したロビンをここで倒さなければ、他の者がこの殺人鬼の毒牙にかかる事となっていたに違いない、仕方のない事なのだ。
 せめてロビンの亡骸は手厚く葬ってやろうと、ヒナは亡骸になったロビンがいるであろう後ろを振り返った。
「うそ…、そんな…、嘘でしょ!」
 ヒナは己が目を疑った。
 ヒナの驚愕の瞳を見返す狂気に満ちた真っ赤な目がそこにはあった。不気味な笑みをも携えている。
 ロビンは倒れてなどいなかったのだ。むしろその体には傷一つ負ってはいなかった。
 確かに手応えはあった。回避されているという事は有り得ない。となれば、
「瞬星刃を…全部止めた…?」
 目にも止まらぬ速さ、そして四方八方からの攻撃全てをロビンは防御したというのだ。
 ヒナの誰の目にも捉えられないような攻撃が、ロビンには全て見えていた。その場から動くことなく、後ろからの攻撃にも振り返らず全て剣で受け止めていた。
 この技さえも封じられ、ヒナの技はほぼ全てがロビンには通じない事となった。
 それを悟ったようにロビンはニヤリと笑い、ヒナに攻めかかった。ロビンの姿が三重に分かれる。
――気の錯乱――
 ヒナは『旋風刃』を放った。自身の回転と同時に放たれる真空の刃がロビンの分身を消し去った。
 分身は二つ消えた。残る一つがロビンの本体、疑いはなかった。
 しかし、それは本体ではなかった。三つ目のロビンの姿までもが消えた。三つ全てが分身だったというのだ。
「そんな、一体どこに…!?」
 突如ヒナは頭上に物凄い殺気を感じ、すぐさまその場を離れた。それと同時に地面に切っ先を向けたロビンが落下してきた。ざくっ、という音を立てて切っ先は地面に深く突き刺さった。
 ロビンは分身を作り出し、前から来ると見せかけ空中へ高く跳び上がっていた。落下の勢いを利用し、ヒナを串刺しにしようというつもりだったのだ。
――あんなに離れて分身を作るなんて…――
『マザーガイア!』
 ロビンは地面から剣を抜き、エナジーを発動した。広範囲に及ぶ大地のエネルギーが噴き上がり、ヒナへと押し寄せた。
 ヒナは飛び退いた。それを読んでいたようにロビンはまた新たにエナジーを発動した。
『スパイアストーン!』
 ヒナの後方に巨木ほどあろうかという巨大な土の槍を落とした。ヒナはすぐさま足を止めた。ロビンはその瞬間にヒナの左右にも土の槍を落とした。
「!?」
 左右、後ろを塞がれ、ヒナは逃げ道を完全に塞がれてしまった。突如前方から眩い閃光が放たれた。
 ロビンのガイアの剣が激しく輝いていた。剣に力を込め、秘められた力を解放しようとしていた。
 ロビンは駆け出し、跳び上がると思い切りガイアの剣を振るった。
「タイタニック!」
 剣の軌跡に添ってロビンの最大のエナジー、『ラグナロック』をも超える巨大な剣が出現した。
 後ろ三方を塞がれ、ヒナには逃げ道がなかった。最早この巨大な剣に貫かれるより他はないように思われた。
 危機が迫っているが、ヒナは慌てていない。落ち着いて構えを取っている。更に目を閉じ、周りの気配に集中した。
 ヒナには考えがあった。力の流れを読み、力がまったくない部分を打ち、その力全てを跳ね返すヒナ一族に伝わる剣技の奥義の中の奥義を使おうというつもりだった。
 相手の力全てを跳ね返す事で相手は自らの力によって刃を砕き、更に相手の力を乗せたこちらの一撃により息の根を止められる。まさに必殺の一撃である。
 しかし、相手の攻撃を寸前まで読む必要があり、タイミングを誤れば押し負けてしまう。更に力の流れを見誤ればそれだけでこちらがやられてしまう。技自体がかなりの危険を伴うものだった。
 更に悪いことにヒナはこれまでに戦いにおいてこの技を成功させた事がない。今この時が初めて使用する時だった。
 しかし、この危機を乗り切るにはもうこの技に懸けるしかない。全てを読み誤れば、待っているのは死である。
 ヒナは周囲の気配から剣の力の流れを読み取った。次にどこが最も力のない弱所なのか、それを捉えるべく目を開いた。
 巨大な剣の切っ先、それも目では捉えきれないほど細かい部分、そこが弱所であった。
――そこね!――
 ヒナは思い切り刀を振り抜いた。
――最終奥義…!――
 巨大な剣とヒナの刀がぶつかる。
「破刃・衝返刃!」
 眩い閃光が走った。ヒナの体長の何倍もある剣とヒナの刀がぶつかり合ったのである。本来ならばこんなものを受け止めようものなら吹き飛ばされ、骨の一欠けらも残さずに粉々に砕かれてしまう。
 しかし、実際は違った。
 なんと巨大な剣をヒナは刀で受け止めていた。力の加わっていない弱所を突き、上手く受け止めるのに成功していた。
 後はそのまま跳ね返すはずだった。しかし、刀がこれ以上動かない。それどころかどんどん押し負けてしまっている。
――そんな、あたしが読み違った!?――
 巨大な剣はヒナの刀を弾き飛ばし、地面へ大地のエネルギーを撒き散らしながら突き刺さっていた。そして同時に爆発を引き起こす。
 至近距離で爆風を受け、ヒナは吹き飛ばされた。
「ああ、ぐ…!」
 ヒナは地面に強かに打ち付けられた。痛みは全身に走った。
 弾き飛ばされた刀がヒナから離れた所に突き刺さった。早く拾わなければ、ロビンが来る。ヒナは痛みに耐え、刀を拾いに行った。
 少しも近づけないうちにロビンが恐ろしい笑みを浮かべて刀の前へと立ちふさがった。
 ヒナの手元には刀の鞘がある。これをロビンへと振るった。しかし、当然ながらそんなものは通じず、簡単にロビンに弾き飛ばされてしまった。鞘はヒナの後ろへ飛ばされ、カラカラと音を立てて転がる。
 ついにヒナには武器がなくなった。ロビンは更に恐ろしい表情をヒナへと向ける。
「これで終わりだ…」
 ごく低く、恐ろしい声でロビンは言い放った。
「く…!」