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Wizard//Magica Wish −13−

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………



「ねぇ雄吾~あのぬいぐるみとってよ~」
「あぁ?なんだ美紗、お前もしかしてこんなのも取れねぇの!?ぶふっ簡単っしょ!」
「由真、こいつ殴って良い?」
「お、落ち着いて美紗、ね?」

都心に来たというのに最初に立ち寄ったのは大型のゲームセンター。ここに行こうと言い出したのは雄吾だ。本当に中身は子供だな。
本当は最初に服とか見たかったけど雄吾がうるさくなるから渋々ここに立ち寄った。でも私もこういうのは嫌いじゃない。無数に並ぶクレーンゲームの一つに可愛い犬のぬいぐるみが目に入ってしまった。欲しいな…。

けど、案の定雄吾に馬鹿にされてしまった。雄吾はこういうのは得意だ。それだけは認める。私は馬鹿にされたのが悔しくて財布から100円取り出し、クレーンゲームにチャレンジした。

「よし、行くぞ~」

「おう、頑張れよ~」
「美紗、頑張って!」

まず最初に横へずらすボタンを押してクレーンを指定の位置までずらす。なんとかここまでの作業は上手く成功した。

「やった!えっと…ここから」

「ぷっ」
「ちょっと雄吾!駄目だよ?美紗はこれでも真剣なんだから!」
「ゆ、由真…お前意外に毒舌なんだな」

きっと他人からみたら今の私は凄い顔になっているだろう。けどそんなの気にしないで今度はクレーンを奥に移動させぬいぐるみの真上へ止める。やった!これなら…

「…っ!!よしきたっ!えっ…えぇぇぇ!!?」

「あ~あ、残念」
「惜しかったなぁ…」

クレーンが降下し、ぬいぐるみがちょっとだけ持ち上がった。けど案の定重みに耐え切れず、置いてあった場所に落ちてしまった。


「へったくそだなぁ、美紗は。ほら、どけよ」
「えっ」
「やってやるよ。さぁてと…」


雄吾が無理やり横入りし100円を入れてクレーンを巧みに動かす。私はそんな彼の姿を見てぽかーんとなってしまった。
やっぱり、なんやかんやで雄吾は優しいんだ。

「ほらっおっと!」


「へへっ、雄吾ってやっぱり優しいんだね」
「う、うん…」

クレーンはぬいぐるみの真上ではなく、落ち口とぬいぐるみの中間地点に止まり、ゆっくりと降下した。するとクレーンのフックの先端に上手く引っかかり、まるで魔法を使ったかのように落ち口へと落ちていった。

「楽勝!」

「す、すごい!すごいよ雄吾!」
「だろ?ってか美紗が下手くそすぎるんだよ!」
「はぁ!?わ、私より下手くそな人に謝れっ!」
「ドーモスミマセンデシター」
「心こもってない!!」

本当に楽しい。赤の他人なら絶対に近づかない分類なのに、なんでここまで仲良くなってしまったのだろう。私は落ちたぬいぐるみを取り出し、胸元に引き寄せた…あぁ、ふわふわだ…。

「いいな~美紗、次私にも触らせて!」
「うん、いいよ!」

「おっといけね…次、服とか見に行くんだろ?時間だ、行こうぜ!」

「あ、ちょっと雄吾!」
「本当に子供みたい。けど、嫌いじゃないな…ふふっ!」
「由真!ちょっと…」
「え、なに美紗?」


前を走る雄吾に続いて私は由真の耳元でアドバイスをしてあげた。先程も説明したとおり、由真は雄吾に思いを寄せている。こうして一緒に遊んでいられるのもあと少しなんだ。これをきっかけに二人ともくっついてくれれば私も嬉しい。


「雄吾は馬鹿だからもっと由真から積極的にアプローチしなくちゃ駄目だよ?」
「でもっ…その、美紗。どうすれば良いかな?」
「思い切って手とかつないでみたら?」
「えぇ!?い、いきなり過ぎない?」

「おい何やってるんだ!はやく行こうぜ!」

「うっさい、今いくよ!…ほら、さりげな~く、…ね?」
「う、うん…やってみる!」


そう決意した由真は一気に雄吾の後ろに近づき彼の手を繋いだ。流石の雄吾も驚いたみたいだ。思わず私はバレない程度で笑ってしまう。

「お、おい由真!な、なん…だ…その…イキナリ!!」
「ぷっ…なんでカタコトなの?良いでしょ?幼馴染なんだから」

言っている由真も若干顔が赤くなっているみたい。ここからでもわかる。

「しょうがねぇな…っ…」
「ね?はやくいこうよ!」
「あ、あぁ…」

流石の雄吾も恥ずかしいのだろうか?何か困ったような表情でチラチラと私を何度も見る。なんだかあんな雄吾も珍しいなぁ。
でもなんだろ…


−見て!あそこのカップル、何気にお似合いじゃない?−
−ほんとだっなんか芸能人みたい!−

「うっ…」

なんだか、胸がもやもやする…。
おかしいな…二人を応援してあげたいのに…


どこか、…私の中でそれを拒否しようとする思いが込みあげていた。


「美紗、早く~!」


「…えっ…あ!うん!!」


作品名:Wizard//Magica Wish −13− 作家名:a-o-w