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Wizard//Magica Wish −13−

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………


ショッピングを終え、私達3人はファーストフード店で落ち着いていた。もちろん雄吾の隣に由真、私はテーブル越しにその二人の前に座っている。横には買い物した袋でいっぱいだ。

「あ~あ、つまんなかった」

「ごめんね、雄吾。次は雄吾が好きそうなところに一緒にいくから!」
「由真、あんまり雄吾を甘やかせちゃ駄目だよ?」

「あぁ!?何だと美紗!」
「なによ!!むぅ~」

「ちょっと二人共!ここで喧嘩は止めてよ!」


案の定、私と美紗の買い物が長引き、雄吾に退屈な思いをさせてしまった。それもそのはず、ずっと女の子が好む店をまわっていたのだから、雄吾はただの荷物係へと化してしまっていた。たまには良い薬だ。

「おい美紗~あれ買ってきてよ」
「あれじゃわかんないわよ、何?」
「んだよ!あれじゃわかんないのかよっ!つっかえねぇ~」
「ぐぐっ…わかったわよっ!『あれ』で良いのね!?覚えておきなさい!!」

「お、おい美紗!!」
「残念、美紗ちゃんの勝ちみたいだね?」

あそこまで言われたら私だって黙っていない。雄吾は『あれ』を買ってきてといった。もちろん今でも把握してはいない。けどそれは逆に何でも買ってきても雄吾は文句を言えないということだ。私はこんなチャンスを見逃すわけにはいかない。変な物買って雄吾を困らせてやる。

−いらっしゃいませ、ご注文はお決まりでしょうか?−
「ハッピーセット下さい。あとコールスロー」
−…あ、はい!かしこまりました。少々お待ちください−
「………。」

よく考えたら注文する私も恥ずかしいということに気がついた。注文したのは何故かハッピーセット(子供用の玩具が付属するあのセットだ)とコールスロー。訳のわからない注文だ。数分後、店員からトレーを受け取り、二人が座っている席へと戻っていった。

すると…

「雄吾さ、今度のテスト勉強…その、もしよかったら私の家で一緒にしない?」
「あ、…あぁ!別に…いいぞ」
「そっか、じゃあ後でメールするね!」
「………っ」


「…なんだ、なんやかんやで良い感じじゃない」

遠目で見てもわかる。由真は何気に雄吾と上手くいっているみたい。


「なあ由真!そのっ…二人きりか?」
「っ!う、うん…」
「そっか……まぁそうだよな…二人きりだもんな!」


「全く、雄吾ったら普段はあんなに威張っているくせに、こんな時に限ってぎこちないなぁ」


よかったね、由真。あともう少しだよ?

雄吾もきっと気が付いているに違いない。馬鹿なりに、ね。
でも…なんで雄吾は少し残念そうなんだろう。いや…きっと私の思い違いか。
由真みたいな美人さんと一緒だなんて、夢みたいじゃない。

でも、でもなにかな…。
さみしいな…

あ、そっか。


もし由真が本当に雄吾と付き合うようになったら、二人は恋人同士になってしまうんだ。

以前のような幼馴染の関係では無くなってしまうんだ。

でも、きっと変わらないよね?
例え二人が付き合うことになっても、私達の関係は絶対崩れないはずだよね…


「お待たせ雄吾っ!はい!」
「なんでハッピーセットとコールスローなんだよ!!謎すぎるだろっ!!」
「ぷふふっ!美紗、ナイス!!」
「やりました由真隊長っ!!」


雄吾は渋々コールスローを食べながらハッピーセットの食玩で遊び始めた。私達二人はそんな雄吾の姿を見て笑い続けるのであった。


作品名:Wizard//Magica Wish −13− 作家名:a-o-w