二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
みとなんこ@紺
みとなんこ@紺
novelistID. 6351
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

ZERO HOUR

INDEX|4ページ/11ページ|

次のページ前のページ
 


「あーもーいいオレは仕事に生きる。仕事に」
 微妙に冷えてしまった食事をやっつけ、ハボックは不貞腐れながら呟いた。
「前もそんな事言ってませんでしたっけ?」
「…自分はうまくいってるからって・・・」
「気合が違いますって。見ます?写真」
「いらねーよ!」
 写真を懐から取り出しているレッキー曹長は非常に楽しそうだ。さっきハボックが逃げる連中を追いかけている間に、抜け目無くかけ金の回収してたので余計暖かいのだということは伏せておいて。
 が、ハボックとしてもこれ以上遊ばれるのも、いい加減ぐずぐずしているのにも飽きてきた。諦めたように深く息をつくと、気を取り直して火をつけたタバコを深く吸い込む。
「――――昨日大佐が言ってたんだが。連中、予告出しただけであと派手な動き全く無いだろ」
 切り替わった空気を察して、リプソンは一つ頷いた。
「あそこのパターンですよね。日付の指定もしているわけでもなく、標的も絞らせない」
「悪戯か、って気を緩めたところでドカン」
「そろそろ頃合を見計らってるだろうから、誘いを掛けようかって」
「私服で巡回増やしますか?」
「そっちブレダんとこがやるみたいだけど、うちからも何人かな」
「今回はどこ狙われますかね」
 連中はここ2年ほどイーストシティでは事を起こしていない。他の基幹都市では結構暴れているらしいが、前回に連中がイーストシティで計画したテロは事前に潰されている。今回はリベンジといった面もあるのだろうが、そう何度も逃がすわけには行かない。
 何せテロが実行されれば、何の関係もない一般人が巻き込まれる可能性が高い。連中にしてみれば市民感情を悪化させ、危機感と軍への不信感を植え付けて市井を混乱させたいのだ。巻き込まれるほうはたまったものじゃない。
「どーせならもう司令部狙ってくれた方が気が楽」
「言いたいことは分りますけどね。やですよそんな」
「オレなんて今現在四六時中気が抜けねぇ状態なんだからな」
 ごもっとも。
 テロの標的となっている可能性がある人と一つ屋根の下。
 うわぁ。
「前回も狙われたの大佐でしたっけ」
「まぁ毎度のことだけどな」
「少尉が東部へ着任してすぐでしたね」
「あれ?少尉って東部出身じゃなかったでしたっけ」
 確かイーストシティよりもっと東だったような。
「学校出て直後の所属は中央だった」
「そっから東部?左遷ですか?」
「栄転だ!」
「・・・前の時は実際、大佐がよく行く酒場にも仕掛けられましたね」
 また話が違う方向へと転がっていきそうだったので、リプソンが無理に方向修正を掛ける。おちゃらけていても真面目な話、すぐ各々の頭は切り替わる。
 一つ頷いてハボックは灰皿に灰を落とした。
「退役した馴染みがやってる店だって。あん時はもーどうしようかと」
「何されたんですか?」
「解体。爆弾の」
 ぎゃあ。
「見付けちゃったんですか…」
「呼び出されて迎えに行った時に、何かこそこそしてるのが裏に回ってったのが気になってなー…。追っ掛けてみたら案の定」
「え、で、その場で解体したんですか」
「時間なかったし。ガッコ出たてのぺーぺーと現役とベテランで3人顔つき合わせて」
「え、大佐も残ったんですか?普通一般人誘導するとかって退避しません?」
「あん人言う事ききゃしねーんだもん」
 いっとう最初に怒鳴ったのもあの時だったかな、と。ハボックはさらりと何事もないように続けたが、上下の力関係が絶対である軍ではどっちも普通あり得ない。
「でも結局お手柄だったんでしょ?表彰とかされなかったんですか」
「された。けど、ちょっと、なぁ・・・あ」
「あ?」
 何かを思い出したらしい様子に全員の視線が集まる。
「…そういや、あん時中央の将軍に部下にならんかって聞かれた気がする」
「え、それこそ栄転コースじゃないんですか?なんでまた」
 なんでまたって…2年前のそんなことなんて覚えているはずが無い。だが恐らく、
「たぶんあの人の方が面白そうだったから?自由人で」
「あー・・・」
「・・・でもその自由人っぷりに今物凄い泣かされてますけどねー」
 まったくだ。
「…ああ、こちらでしたか。少尉、大佐がお呼びですよ」
 何処かから呼びかけられて、お、と顔を上げる。
 食堂の入り口から背の高い准尉が顔を覗かせていた。ハボックがオレ?と指で示すのに一つ頷いて、ファルマンは「執務室にいらっしゃいますので」と付け加えた。

作品名:ZERO HOUR 作家名:みとなんこ@紺