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みとなんこ@紺
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ZERO HOUR

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「…お前に言われたらお終いだな」
 どういう意味だ。
 しかも顔見ながらしみじみ言われた。むかつく。
 だがどうせ反論したとしても倍になって返ってくるだけなので、ハボックは取りあえず一つ息をついて上の様子を伺った。派手な物音がしたのは一瞬で、今は静かなものだ。取りあえず室内では跳弾が危ないので、銃撃戦は極力やりたくない。その可能性を回避して、かつ撃ってきた容疑者を捕縛出来ていれば上出来なんだが。
「――――大佐、少尉そちらで?」
 階上からの呼びかけに答えれば、落ち着いた足取りで部下の一人が銃を手にしたまま降りてきた。
「すいませんね。撃たせるつもりはなかったんですが」
 丁度扉蹴り開けたら窓から撃とうとしてたところでしたんで。
「生きてるか?」
「当ててはいませんね」
「よし。アードラー軍曹、C分隊は先にこのままハボックと駅へ向かえ」
「あ、ようやく戻る気になってくれました?」
 ようやく自由に!というのが顔に出たか、上官は逆に非常に胡乱気な顔で「お前がいつも言うからだろう」と眉を寄せた。
「まだ爆発物があるかもしれない所へ一緒に行って欲しいか?」
「勘弁してください。それにこれ以上は中尉に撃たれます」
「…まぁ中尉なら一発で十分でしょうね」
 珍しく横から静かなつっこみが来たのに2人して顔をめぐらせると、肩にライフルを担いだその噂の中尉が足早にこちらへ歩いてくる姿が。
「…迎えが来たようだし、容疑者を連れて一旦戻る」
「帰り道の途中で泣かすつもりでしょ」
「時間がない以上仕方ないだろう」
 もう行け、とひらひらと手を振られたので。では、と一つ敬礼を残してきびすを返した。


 …背を向けてしまったのでもうどんなやり取りが行われているのか知る由もないが、
「・・・リミット付き、逃げ場の無い狭い車内」
「大佐と中尉の2人掛かりで」
 何となく、一旦言葉を飲み込んだ。


「…吐くのも時間の問題だろーなぁ…」
「運転してる奴、新人じゃなければいいんですけどね」


 気の毒に。

 同情してやる義理もないのだが、無意識にか、2人して同時に宙に十字を切っていた。









作品名:ZERO HOUR 作家名:みとなんこ@紺