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華音の女王(アルエド+ハイウィン+オリキャラ)

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「あとな?余計なお世話も追加しておいた」
「余計なお世話、ですか?」
なんだろう、と思ったとき、コンコン、と再び部屋の扉がノックされる。
「丁度良い頃合いだな。…入ってくれ」
「失礼します」
扉を開けて入ってきたのは、髪にずいぶんと白いものが混ざってきた男性。
「その様子だと、クロノス様はお話を受けて下さるようですな」
お父さんが宰相を務める右の府とは対になる機関、外交関係を扱う左の府の長、別名『桜の宰相』。
「ラング様」
「立派にお務めを果たして下され。期待しておりますぞ」
「…はい」
立ち上がったクロノスさんの肩をぽんと叩き、ランクさんは皺の増えた顔で微笑む。
「オマエの後継者は、エーデルハイト本人に選ばせることにしたよ」
「おお、そうですか。姫様のお目は確かですからな、間違いはないでしょう。───それはそうと、連れて参りましたぞ」
「そうか、呼んでくれ」
お父さまに促されたラングさんが頷いて、入ってきなさい、と声を掛けられ、部屋に足を踏み入れたのは。
「───うわ、ロイヤルファミリー勢揃いじゃないですか。ものすごく場違いな気が…」
「…ジェンド、さん?」
右の府でお父さんの副官を務めていて、現在のクロノスさんの直属の上司でもある人。
「ああ姫様、お久しぶりです。相変わらず、可愛らしくていらっしゃる」
にこりと笑って言われて、どくん、と鼓動が跳ねる。
「伺いましたよ、再来月には陛下の跡をお継ぎになるとか。おめでとうございます」
「あ、りがとう、ございます…」
一礼したジェンドさんに、詰まりながらもなんとか返す。
普段からマイペースで気さくな性格の彼は、クロノスさん達より少し砕けた口調で話をする。
一時期私の家庭教師も務めてくれていたジェンドさんは、王族である私にも変わらない口調で話しかけてくれる。
「陛下、アルフォンス様。何かお呼びだと聞いて、左宰相様とご一緒させて戴いたんですが」
そうだ、どうしてこの人が、ここに呼ばれたのだろう。
「うん、そうなんだ。───ねえジェンド」
頷いたのはお父さん。
「…きみ、再来月でボクの副官、クビにするから」
「……は?」
後ろで一つに括られたジェンドさんの茶色い髪が、首を傾けたことでひょこりと揺れる。
「再来月のエーデルハイトの譲位で、ボクも兄さんと一緒に隠居するんだ。だからきみもクビにするから、よろしくね」
にっこり笑ってお父さんが落とした、本日二つ目の爆弾。









「ちょ…っ、待って下さいよアルフォンス様!」
慌てふためくジェンドさん。それはそうだ、いきなり解雇命令だなんて。
「あと一月半で再就職先、探さないといけないんですか!?」
「ジェンドさん、クビになることには異論がないんだ…」
「ありませんよ、ユリアーヌス様。私はアルフォンス様以外の閣僚に、仕えるつもりはないですから」
今は月の半ばだから、再来月といっても正確には一ヶ月半くらいしか期間がない。
「オマエほどの能力なら、引く手あまただろうに。オレの周りには頑固者が多いなぁ」
「ホントだねぇ、兄さん」
「頑固者の筆頭が二人揃って何言ってるんですか…」
のほほんと言うお父さまとお父さんに、額に手を当てたジェンドさんが返す。
「閣僚達が持ち込んだ見合い話を尽く蹴りまくって、兄弟揃って生涯独身通して。おまけに姫様への譲位後は一緒に隠居って…どれだけラブラブなんですか」
「ずっと」
「…うっわ、即答したよこの王様」
「隠居して、遅ればせながらの新婚生活するんだよねー、兄さん」
「なー」
「万年新婚兄弟の癖に今更ですか!?」
…なぜだろう、明らかに一人のひとの人生がかかった重大な状況のはずなのに、掛け合い漫才のようにしか聞こえない。
言い返すのを諦めたらしいジェンドさんは、大きくため息をついた。
「あーもう…王宮以外で四十路の人間雇ってくれる所ってあるかなぁ…」
「ああ、再就職先なら手配してるよ」
「え、ホントですか?でも閣僚の助手とか副官とかならお断りですよ」
「うん、そういうのじゃないから安心して」
「じゃあ一体何処に…」
再び首を傾げたジェンドさんに、ふっふっふ、とお父さまが笑う。
「まあ、王宮内での再就職ではあるんだけどな」
「え、でもさっきそういうのはお断りって言ったじゃないですか」
「助手は助手でも、閣僚じゃない。その、さらに上の人間だ」
「さらに、上……?」
「オマエにも悪い条件じゃないぜ、ジェンド」
にやりと笑ったお父さまに、ジェンドさんが困惑したような表情を浮かべる。