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【ゲットバッカーズ】人狼ごっこ

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このままではいつまでも始まらないのではなかろうかとずっと黙って静観していた朔羅も流石に心配になってきたころ、マクベスがおもむろに本題に入りだした。

「ゲームの背景設定はそんな難しいものではありません」

”ある日、ある村に人狼が入ってきたという噂が流れた。そしてとうとう人狼に噛まれた死体が発見される。村人たちは全員で話し合い誰が人狼かを推理して、人狼だとされた人を処刑することにした”

「うう…怖いね…」
「言っとくけどゲームだからな。お前ぇなんかルール全部無視して力ずくで人狼と人間の共存とかやってのけそうだけど、そういうのはできねーからな?」
蛮の銀次への念押しにその場にいた全員が、ああやりそうだと声にしないで同意する。
「わ…わかったよ蛮ちゃん」
やる気だったのか…、全員がそっと心でつっこんだ。
「このゲームは人狼と村人の数が同数、もしくは村人が人狼より少なくなると人狼の勝利になります。対して村人側は人狼より同数以下に減らずに、かつ人狼をすべて処刑すれば勝ちです。夜になると必ず一人を人狼は襲い、村人はそれに対抗する術がありません。村人は知恵を使って人狼が力を出せない昼の内に見つけ出して処刑するのが唯一の対抗策なんです」
「どうやって誰が人狼だって推理するの?」
「村人達は人狼と直接対決はできませんが、ヒントを得る事はできるんです」
「ヒント?」
「はい、それを得る”役職”を持つ村人がいるんです。村人陣営対狼陣営で村人はヒントを元に狼を探し、狼はそのヒントから自分たちを探られないように邪魔をする、それがゲームのメインになります」
今回の”役職”と陣営の内訳はこんな感じです。マクベスはあらかじめ用意していたメモを奪還屋二人に渡した。

村人陣営
占い師(一人)夜のうちに一人、人狼か人間か占う事ができる。
霊能者(一人)その日に処刑された人間が、夜に人間か人狼か判断することができる。
狩人(一人)任意で誰か一人を人狼から守ることができる。ただし自分の身は守れず、人狼が誰かもわからない。
村人(一人)何の能力も無い。知恵と勇気で人狼をがんばって見つけてください。

狼陣営
人狼(二人)一日一人、夜のうちに襲う。人狼が何人いても犠牲者は一人です。お互い誰が人狼かわかり、人狼同士の襲撃はできません。
狂人(一人)人狼に心酔している人間。誰が人狼かはわからないが人狼が勝利するように場をかき回してくる。人狼も誰が狂人なのかわからない。狼陣営ですが人間なので、占いでも霊能でも人間と出ます。

GM ゲームを進行する司会

「…あれ?これ八人だよね?一人たりないよ、マクベス?」
メモを見た銀次が首をかしげてマクベスを見ると
「遅くなりました、間に合いましたか?」
軽やかな鈴の音とともに風鳥院花月が現れ慣れたように近づき、銀次たちに一礼をすると開いているクッションソファにゆったりと座った。
「ありがとう花月君、急に呼んでしまってごめんね」
「いいえ、丁度時間も開いていましたので誘って戴けて逆に良かったです」
相変わらずの嫌味の無い美しい笑顔で花月は申し訳なさそうにするマクベスに微笑んだ。
「わー、カヅっちゃんも一緒にやるんだ!よろしくね!」
「はい、銀次さん」
「さっさと処刑されたり人狼に喰われたりだろ、どうせ」
「どうぞなんとでも。美堂君こそ早々に退場にならないように弁を奮ってくださいね」
始まってもいないのに空気が緊張しだして、銀次が呆然とタレた姿でオロオロしつつ、どうにか話題を変えようと必死にマクベスに話をふった。
「ね、ねえマクベス、あの狼陣営の狂人て、結局人間みたいだけど最後に村人、狂人、人狼、になったときってどうなるの?狼陣営だから狼の勝ち?」
「そうですね、そのころには人狼と狂人もそれぞれ誰が誰か見当がついているでしょうから残る村人を共謀して処刑、夜に人狼が狂人を襲撃して村には人狼だけが残り人狼の勝利という流れになるでしょうから、その組み合わせで残ってしまったら狼陣営の勝利になります」
「狂人は味方なのに人狼は襲うの!?」
「だからゲームだっつってんだろうが!」
銀次の驚いたような声に蛮がゲンコツで答える。
「本来ゲームの流れはまず初日夜から始まります。一人襲撃されて占い師は誰かを占い、明けて昼犠牲者と占い結果を元にだれが人狼がを推理し一人を処刑。また夜に一人襲撃され、占い師は占い、霊能者が前日処刑された人間が人狼かどうか答える、というものですが、今回は人数もぎりぎりですので初日の襲撃はGMで行こうと思います」
「今回は?」
「もう少し人数に余裕があったら参加メンバーから犠牲者を出すんです」
「それほとんど参加できないよね、ゲーム…」
「…まあ、そういうゲームですので」
厳しいね、とタレがしょんぼり呟く。
「ゲームでぐだぐだ落ち込むなっつーの」
蛮が呆れたようにタレの金髪をぐしゃぐしゃとかき回す。本人は撫でてるつもりなのかもしれない。
「それから能力者の能力騙りは構いませんが、村人の能力騙りは禁止です」
「騙り?」
「人狼や狂人は嘘をつくんですよ、銀次さん。自分が占い師や霊能者だ、と」
「でも、本物もいるのになんでそんなウソをつくの?」
「村人にはどっちが本物でどっちが偽物かわかんねーからだよ、本物より上手くやって本物を処刑させたり信用されて最後まで処刑対象から外されるようにな」
「そうは言ってもあんまり大人数の騙りが出ると逆にその役職者全員順番に処刑されたりもするので、騙るのがいいことかどうかはわかりませんね。どれだけ上手くやっても結局早く処刑されるか後に処刑されるか、になってしまいますから」
「ううう」
「ちなみに役職者全員処刑をローラー、ロラと言います。それから役職者の騙りが少ない、またはおらず白黒つかない人達の中から処刑することをグレーランダム、グレランと言います」
「白黒つかない人?」
「人狼だったら黒、完全に村人だと証明されたら白。まだどっちともつかねーとされる奴らは灰色ってんだ。特に喋らねー奴から処刑されんな。目立ちたくない狼って見なされてな」
「…本当にこんな酷いゲーム、今からやるの…」
「ま、やってみりゃー楽しいんじゃねーの。そこまで酷いって事もねーだろ」
「それから、一番大事なのは自分が死なない事じゃありません、チームが勝つことです。仮に自分が処刑や襲撃で死んでも最後に人狼を全て吊れたら村人の勝ちですし、人狼が残り続けたら人狼の勝ちです。狂人は人狼の為に吊られようとしたり関係ない村人を人狼として処刑しようと怪しい行動を取る事や役職騙りが多いですからそこも気をつけて下さい」
「あい!」
うんうんとタレた銀次が気を取り直したように手を挙げて返事だけは元気よく返した。
「さて、では始めましょう。銀次さん、質問があったらどんどん聞いてくださいね。その都度答えますから」
「うん、ありがとうマクベス!」
「朔羅、伏せた役職カードを皆に配って。皆は自分の役職を、周りに見えないように確認して」
全員にカードを配った朔羅は、全員がカードを確認したのを待ってそっと口を開いた。

「それでは皆さん、初日の夜が明けます。…汝は、人狼なりや?」


 ~初日~
筧朔羅が無残な姿で発見された