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【カイリン】十四歳の亡霊

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平日の早い時間は、客足もまばらで。リンはカイトと手を繋いで、当座の生活用品をカゴに入れていく。

「先に言っておくけど、あたし、一文無しだから」
「分かってるよー。リンに出させたりしないって」
「ついでに聞くけど、仕事してんの?」
「しーてーまーすー。フリーで色々請け負ってるから、時間が自由になるの」
「フリーター?」
「違うって。簡単に言うと、便利屋の上級職みたいな?」
「何それ」
「専門知識が必要な仕事ってこと」
「ふーん。いかがわしい?」
「失礼な。真っ当ですから」

買い物が多くなったので、一旦アパートに戻り、荷物を置いた。その時、リンはカイトから合い鍵を渡される。

「あった方が便利でしょ?」
「えっ、い、いいの? てか、もう少し警戒しろよ!」
「取られて困る物は置いてないから、大丈夫」
「そういう問題じゃなくて」
「ほら、オムライスの材料買いに行くよ?」

手を差し出され、リンは仕方なくその手を握る。

「玄関開けて、強盗とコンニチワしても知らないからな」
「怖っ! その時はリンが助けてくれるでしょ」
「カイト盾にして逃げるから」
「酷い!」



そのまま、リンはカイトの部屋で暮らすようになった。カイトは「仕事」で、時折ふらっと出掛けていく。その間、リンは部屋で一人テレビを見たり、ゲームをしたりして過ごしていた。
相変わらず、お互いのことを何も話していないが、逆にそれが心地いい。カイトといる時は、組織のことを忘れられた。自分の能力のことも忘れられた。