【カイリン】十四歳の亡霊
目的の場所から少し離れた場所に車を止めると、男は煙草に火をつけ、深々と吸い込んだ。
『ジーニアス』は、期待以上だな。
吐き出した煙の向こう側を透かし見ながら、にやりと笑う。『シザーズ』と『ジーニアス』、能力者を二人も手に入れられたのは、幸運というものだ。組織の方でも、うかつに手を出してこれないだろう。
そう、能力者を二人も手に入れられたんだからな、俺のおかげで。
『シザーズ』を見つけたのは自分だ。平凡な、何処にでもいるガキに見えたあいつに、ピンときたのだ。こいつは、極上の能力者だと。
だから消した。家族ごと。
まさか、他にも能力者がいるとは驚いたが、おかげでこっちの評価はうなぎ登りだ。組織の信頼も厚い。だからこそ、こうして裏で動き回れるのだ。
それにしても、何故あいつは
ふと鈍い痛みを覚えて、顔をしかめる。
余計なことを考えるな。今は『シザーズ』の扱いを考えるのが先だ。制御装置さえつけさせておけば、相手に抵抗する術はない。
なに、時間を掛けてじっくり分からせるさ。
言う通りにするしか、道はないってことをな。
乱暴に煙草をもみ消すと、男は車を降りた。
作品名:【カイリン】十四歳の亡霊 作家名:シャオ