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fate/destruction

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Episode.2



ああ、空が燃えている…

いや、空だけではない、
地面も建物も視界に映る全てが燃えている。

周囲には心を貫くかのような、
どす黒い悪意が飛び交っている。

誰か、誰か無事な人はいないのか!

そう叫んでも返ってくるのは、
痛いほどの静寂のみ…

すると、ガタリという音を聞き、
振り返ってみると微かに動く瓦礫。

素早く駆け寄り瓦礫の山をどかし始める。

両手の掌に痛みが走るが、
無我夢中で瓦礫を掘り続ける。

最後の大きな瓦礫をどけると、
弱り切った少年の顔があらわれ、
思わず安堵の表情を浮かべる。

少年の助けを求めるように差し伸ばす手を、
自らの両手で包み込むように握りしめる。


――どうやら夢を見ていたようだ。

いや、それは正確ではない。

私は過去を見ていたのだ。

私に魔術の才能は受け継がなかったが、
何故か過去の出来事を夢として見てしまう。

普通の夢を見た事は一度もないのだ。

つまり、夢で見たあの災害は過去にあった事なのだ。

そう考えると胸が苦しくなる。

「大丈夫、マスター?
 何かうなされてたみたいだけど…」

私が真剣な顔で悩んでいたのが気になったのか、
幼い少女が心配そうな顔で覗きこんでくる。

そうだった、私はアサシンのマスターとして、
聖杯戦争に参加することとなったのだ。

「何でもないよ、アサシン。」

「そう?それなら良かった。」

心配そうなアサシンに微笑み、
汗で顔に張り付く自分のロングヘアを後ろに避ける。

あんな夢を見たからだろうか、
びっしょりと気持ち悪いぐらい寝汗をかいていた。

「ちょっとシャワー浴びてくる。」

そう、アサシンに言い残し脱衣所に向かう。

嫌な汗でべたべたになったパジャマを、
洗濯機に放り込んでからお風呂場の扉を開く。

蛇口をひねりシャワーの温度が適温になるのを確認してから、
頭から温かいお湯を被る。

私は一人暮らしだから、
洗濯も掃除も料理もすべて一人でやる必要がある。

でも、その分こうやって朝、
学校に行く前にゆったりとシャワーを浴びる事が出来る。

ぱっと、汗を洗い流すとお風呂場から出て、
もう少しで腰にまで届きそうな髪を乾かす。

そして、私が通っている江見ヶ原学園の制服である、
紺色のブレザーに袖を通してアサシンのもとへと戻る。

「お待たせ、アサシン。」

「おかえり。
 あれ、マスター何処か行くの?」

「え、学校だけど…」

「そっか…
 何かあったら、令呪で呼んでね。
 すぐに飛んでいくから、約束だよ!」

少し大袈裟じゃないかと一瞬思ったが、
今、自分は聖杯戦争に参加しているのだ。
常に狙われた状態なのだと、少しだけ気を引き締める。

アサシンと約束をして、
通学用鞄を手に、少し早足で学校に向かう。

その先に何があるのかも知らずに…

作品名:fate/destruction 作家名:すのう。