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【かいねこ】クレイジーガールの恋愛衝動

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「マスター、ちゃんと仕掛けてきたよ」

いろはの声に、クランベリーは椅子を回して向き合う。

「どうやらそのようだ。いい子だね、いろは」

手を伸ばしていろはの頭を撫でるが、不満げに顔を背けられた。

「あたし、やっぱり嫌だ」
「おやおや、機嫌を直しておくれ。可愛い顔が台無しじゃないか」
「マスター、あたし可愛い?」

唐突に聞かれ、クランベリーは目を見張った。

「どうしたんだい? もちろん、お前は世界一可愛いよ」
「・・・・・・可愛い子とは戦えないって、カイトが」

拗ねたような表情のいろはに、クランベリーはにやっと笑う。

「そうか。彼は男性型だからね。いやいや、心配することはないよ。闘技場の外だから、そんなことを言ったのだろう。いざとなれば、男だろうと女だろうと、ヒト型だろうと、将軍は配慮しないさ」
「カイトと戦ってもいい?」
「時期が来たらね。今はまだ我慢しなさい」

唇を尖らせるいろはに、クランベリーは苦笑して、

「機嫌を直しておくれ、私の天使。闘技場で気晴らししてくるといい」
「嫌。カイト以外とは戦いたくない」

ぷいっと部屋を出ていく姿を見送り、満足げに頷いた。



アパートに戻ってくると、リーキはベッドに身を投げる。

「あー、久しぶりの我が家だー」
「そうですね。マスターもお疲れでしょう」

リーキは、カイトがマスクを外すのを、不思議そうに見守った。
いつもなら、汚いままベッドに上がるなと散々どやしつけられ、身ぐるみはがされて浴室に叩き込まれるところなのに。

「・・・・・・どうした。気が高ぶってるのか?」
「ええ。今回の相手は大物でしたから」

リーキの眉間の皺が更に深くなったところで、カイトは苦笑しながら唇に指を当て、静かにするよう示してきた。

『盗聴期を仕掛けられた』

ハンドサインで伝えられた事態に、リーキは身を堅くする。

『さっきの女か』
『ターゲットの一人』
『外せ』
『今は駄目。事情がある』
『分かった』

カイトは、何食わぬ顔で椅子に腰掛け、

「先ほど、俺のファンとかいう子に会いました」
「へー。お前にファンがつくとはね。可愛い子か?」
「ええ。とても」

そう言って機嫌良く笑うが、赤い瞳は冷静だった。

「だから、次はもっといいところを見せようかと」