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【かいねこ】クレイジーガールの恋愛衝動

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その夜、いろははクランベリーから与えられた部屋で、録画しておいたカイトの戦闘の様子を、繰り返し見ていた。
明かりを落とし、画面に大写しになるカイトの手元を、食い入るように眺める。

ねえ、どうしてあたしじゃないの?

何度も何度も、心の中で繰り返した。

貴方の視線の先にいるのは、どうしてあたしじゃないの?
貴方の指が触れているのは、どうしてあたしじゃないの?

どうしてどうしてどうして?

貴方が好きなの。貴方に触れたい。触れて欲しい。
貴方が欲しい。貴方のパーツ全て。
あたしの全部をあげるから、貴方の全部を頂戴。

手を伸ばして、画面に映るカイトの輪郭をなぞる。

「貴方が好き。貴方に壊されたい。貴方を壊したい。ねえ、貴方なら、分かってくれるよね?」

ねえ、お願い。



翌日の闘技場。カイトは、出場前にマスクの下で目を閉じた。

ごめん。これが俺の仕事なんだ。
彼の期待に応えなくてはいけないんだ。

何度もごめんなさいと繰り返した後、覚悟を決めて場内に足を踏み入れる。目の前の対戦相手がヒト型ではないことに、カイトは安堵した。相手には感情も痛覚もないと、自分に言い聞かせる。
開始の合図が鳴り響き、カイトはナイフ片手に相手へ襲いかかった。

ごめん。今回は、すぐ楽にしてあげられない。

黒光りする銃身をかわし、継ぎ目に素早くナイフを差し込む。

ごめんね。必要、なんだ。

いつもなら、最短で動力源を絶ち、相手を機能停止に追い込むのだが。
カイトは、わざと影響の少ない部分から切り取っていった。まるで、解体することを楽しむかのように。