ユースティティア
<ハッカー侵入>
合声音が告げる内容に一同が緊張したが、
『構わん。協力者だ』
アムロの声がスピーカーから流れ、同時にハッカーと思しき人物からのメッセージが合声音を通じて流された。
<アムロ! 俺だ。カミーユだ。ミライさんから聞いた。協力するからサポートに俺を使え>
『作業能力に限界がある筈。こちらほどにはスピードが出ないだろう。きっと攻撃が加えられるだろうからジャミングに回れ』
<了解! 深追いするなよ>
『やるなら徹底的だろうが? 早々に降参するなら良し。そうでないなら喧嘩を売ったことを後悔するまでやるだけだ』
常のアムロの言葉とかけ離れて男性的で攻撃的な内容に、室内にいるメンバーは目を白黒する。
アムロはカミーユとの会話をしながらも、シャアの居所を絞り込む作業に入っている。
『ペンタゴン内部に侵入する。邪魔な雑魚は任せる。動けないようにパスワードを書き換えてしまえ』
<アムロLOVEとか?>
『好きにしろ。だが、直ぐに上書きをかけてくるぞ』
<ウイルスやワームをばら撒いてもOK?>
『それはリカバリー時の相手方に与えるダメージが大きすぎる。今回は使用せず操作で対抗しろ。出来るな』
<了〜解! 俺を誰だと思ってんのさ>
『のぼせ上がって詰めが甘くなる癖をもつ青い稲妻だろう?』
<〜〜嫌味な白い流星。重々注意をしますよ>
ディスプレイ上にペンタゴンの平面図が映し出された。
「どっ、どうやってこれを・・・・・・。最重要データーとして強力なブロックがかけられていただろうに・・・」
役員の一人が搾り出すように言葉を出す。
その疑問に、コンピュータの世界では「真紅の稲妻」と異名をとるジョニー・ライデンが答えた。
「なるほど・・・。そうか。この二人がタッグを組んだら、破れないセキリュティーは存在しませんよ。」
「どういう意味かね」
「今、二人が口にしたでしょう。白い流星と青い稲妻と」
「な、なんですと?・・・あの・・・伝説の?」
「ええ。伝説のハッカー2大巨頭ですからね。・・・そうでしたか・・・アムロ様とカミーユさんが・・・白い流星と青い稲妻・・・」
彼が驚嘆と感心をしている間にも、ペンタゴンの内部ではコンピューター制御の機械が本来の支配から脱落していく。
表面上、なんら異常は見られない。
作動に支障はないのだから・・・。
しかし、指示を出す側が変わっているのだ。
エレベーター、エスカレーター、空調、照明等、いつでもアムロとカミーユの思った通りに作動を変える事が出来る状態になっている。
ある意味、ペンタゴンの建物がこの二人の監視下に置かれたようなものなのだ。
「今頃、きっと制御室ではありえない出来事に発狂物でしょうね」
ナナイが面白い物を見る様な声で呟いた。
「PC上には白い流星の様な光が走って、青い閃光が間断なく点滅している事でしょう。その画面を見て、管理者は髪が白くなるほどに恐怖しているでしょうな。敵に廻してこれ程恐ろしい相手はいないのですから」
ジョニー・ライデンがナナイの言葉に返事を返したその直後。
『見つけた』
<DOWN!>
同時に二つの声が響いたのだった。
2011/02/24