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こらぼでほすと ダンス4

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 間男と女房の様子に、別に坊主は妬いたりしない。ちゃんと役目は終えたから、やれやれ、と、言った感じで、その隣りに立っている。
 また、曲が始まると、おじい様と孫娘も、楽しそうにステップを踏み始める。トダカも、それほど上手ではない、と、言っていたが、見事なものだ。何か話しながら踊っているらしく、どちらも笑っている。今までの人生上、ニールは見たこともない光景が、目の前に広がっている。
「なんか夢みたいですね? 」
「ああ? おまえ、仮にもホストクラブの人間が、それを言うか? たまに、ダンスイベントがあるんだぞ? 」
「へ? 」
「そういうイベントデーが年に何度かあるんだ。ママニャンは参加してもらってないから知らなかっただろうけどな。」
 本格的に、イベントとして店でもやることがある。だから、ホストをやっている連中は、全員が踊れるのだ。ニールは体調の問題があるから、その日は休んでもらっていた。政財界のセレブなお客様たちは、こういう催しも楽しむからだ。今後も、ニールは、そのイベントに顔を出すことはないだろうが。
「ママニール、疲れませんか? 」
 アスランが、声をかけにやってきた。次は、アスランの番なので、スタンバイに出て来たらしい。
「大丈夫だよ、アスラン。」
「俺が、終わったら小休止です。フェルトを迎えに来て下さい。」
 三曲が終わったら、少し休憩する。次に、ニールの番ではなく、間にラテンを入れて場の雰囲気を変えるのだそうだ。これは、虎夫婦がメインで派手に踊ってくれるらしい。この後の流れを、アスランが説明してくれるのを、ニールも聞いて頷く。それで、流れを変えて、チークダンスにしてくれる。
「まあ、チークダンスなら、適当に揺れてくれれば、それらしくなります。」
「はいはい。」
「それが終わったら、またワルツに戻って、ハイネが踊ります。それで、だいたい、予定は終了です。」
「その後は、キラたちがゲーム大会やるらしい。」
「そっちは俺たちに任せて、ママニールは休んでください。明日も朝から騒ぎますから。」゛
「アスラン、ママニャンのほうは俺が寝かせておくから、任せろ。」
「頼んだぞ、ハイネ。」
 普通、寺夫夫で一部屋のはずだが、坊主は独り寝の人なので、一部屋を独占する。ということで、ハイネとニールが同室なんてことになる。まあ、いつもの寺の風景だ。
「三蔵さん、もし、ママニャンをキープしたいなら部屋変えるけど? どうする? 」
「いらん。おまえが一緒に寝ろ。」
 会話だけを聞いているといかがわしいこと、この上もないが、アスランも苦笑するぐらいで済んでいる。
「あれ? レイが一緒に寝るって言ってたぞ? ハイネ。」
「今夜は、俺と寝てくれ。」
「それは、どっちでもいいんだけど。」
 レイはゲーム大会に参加するので遅くなるからのことだ。たぶん、明日はレイが居座るだろうし、下手するとフェルトがやってくる。そろそろ同室で寝るのはやめさせたいのだが、それに関してはフェルトも言うことは聞いてくれない。


 三曲が終わって、ニールがフェルトをソファに案内した。さすがに続けて踊ると疲れる。
「はあ、緊張した。」
「そうか? 優雅に踊ってたぞ? フェルト。」
「ニールは、ハイネといちゃいちゃしてたのに、見てたの? 」
「いちゃいちゃ? 普通に話してただけだよ。」
 別荘のスタッフが、飲み物をサーヴしてくれるので、リンゴの炭酸ジュースをフェルトに渡す。カチンとグラスを合わせてから飲む。
 大広間の一角に、休憩スペースのように、何脚かのソファが配置されていて、みな、そこで寛いでいる。亭主は、もちろん女房の隣りに座って、ビールを口にしているし、対面にはトダカが座って、こちらはシャンパンと思われるものを飲んでいる。
「フェルト、次は私と踊ろうか? 」
 カガリがやってきて、そう言い出した。
「次は、ニールなの。その後でいい? 」
「ああ、それでいいぞ。じゃあ、モーニングに着替えてくる。」
 フェルトの返事を聞くと、スタスタと踵を返していく。ただでさえ、女性が少ないのに、と、ニールは思ったのだが、遊びだから、まあ、いいっちゃーいい。ついでに、カガリはキラの首根っこを掴んで引き摺っていったから、たぶん、また「とりかえばや」をやらかすつもりなのだろう。
「楽しんでくださってますか? ママ。」
 ラクスがグラスを片手にやってきた。すかさず、坊主は席を外すので、そこに座り込む。
「ああ、楽しませてもらってるよ、ラクス。いろいろ、ありがとな? 」
「とんでもありません。私も、ママが、ここで一緒に楽しんでくださって幸せだと感じておりますから。明日の珊瑚礁クルーズも楽しみです。」
「俺も楽しみだ。そんなの、じっくり鑑賞したことないからな。・・・組織の待機所に南の島もあったんだが、そんなもん考えたこともなかったんだよな。」
 地上でMSも隠せる大掛かりな施設もあったが、自然に目を向ける余裕はなかった。少しばかりアウトドアチックなことはしていたが、それぐらいだったのだ。
「あたしもなかったな。」
 フェルトも、それには同意だ。地上でのミッションもあったのだが、やはり目的があるから、そんなところに視線がいかなかった。リフレッシュ休暇の時は、地上には降りていたものの、大抵は王家の別荘かホテルでの滞在で、自然と接するのも少なかった。そう考えると知らないことばかりだと、フェルトも思う。
「フェルト、これからは、そういうものも目にされればよろしいですよ? 自然は大きい、と、実感できます。」
「うん。そうする。」
 組織が再々始動するとしても、大きな紛争がなければ、ある程度の時間は取れる。今の地球連邦は恒久的平和を目的としているから、紛争は減るはずだ。


 しばらくすると、虎夫婦、沙・猪家夫夫、ハイネとレイ、アスランとシンというコンビが、大広間の中央に現れた。音楽も、三拍子ではなくラテン系の緩やかで派手なものが演奏されると、四組が踊る。さすが、コーディネーターというところで、複雑なステップを綺麗に踊っている。沙・猪家夫夫も、堂に入った踊りっぷりだ。
「ラクス、あれ、店でも踊ってるのか? 」
「ええ、一応、クラッシックもラテンも踊りますよ。ラテンは、ステップが複雑なので、踊れるスタッフが担当しますけど。今、踊っているのが踊れる方たちです。」
「絶対に、俺は無理だな。」
「ほほほほ・・・ママは踊らなくて結構です。どちらかといえば、密着したもののほうが、お客様は喜ばれると思います。」
「いや、それも・・・なあ、フェルト。俺、上手に踊れないんで、適当だからな。」
「うん、あたしも下手っぴだから。」
「いや、おまえは上手いよ。」
「ええ、フェルト、ちゃんと踊れておりましたよ? 初めてで、あれだけ踊れれば、お上手です。」
 そうかな? と、フェルトは、はにかみつつ微笑む。誉められると悪い気はしない。
 ラテンの曲は、次にタンゴになった。これは、さらに複雑なステップだしスピードもあるのだが、そこで踊っているメンバーは、ちゃんと音楽にノってターンしている。ホストって、こんなこともでるなきゃいけないのか、と、ニールには、ちょっとびっくりする光景だ。
作品名:こらぼでほすと ダンス4 作家名:篠義