君が泣かなくなるまで
…結局、土井先生を泣き止ますのに15分ほどかかった。
まだグズグズと鼻をすすっているが、取りあえず話を元に戻した。
「中在家ときり丸が同棲する理由が、お互い恋仲だったからというわけですな」
「そう…です」
「それで、中在家達に便乗するように現れたのが立花仙蔵と食満留三郎だったと?」
「はい…」
「なるほどねぇ…」
きり丸を泣く泣く手放したばかりで苛立っていたというのに、そこへ食満たちが現れて挙句にしんべヱを~…なんて言いおったからあれほどに激怒したというわけか…
「冗談じゃないですよ。立花はしんべヱと喜三太に宝禄火矢を投げる鬼畜野郎だし、食満は後輩とみれば見境なく(タカ丸除く)ベタベタする変態ショタコン野郎だし、そんな二人にしんべヱは絶対渡せません!」
「……あ、そう」
一応二人とも我が校の六年生の中ではかなりの腕前なのだが…恋愛事情が絡めば別だったか…
そんなことを考えていると、突然土井先生が立ち上がった。
「そうだ、こうしちゃいられない!吉野先生に言ってしばらくしんべヱを委員会から外してもらわなくちゃ。なるべく食満に近づけないようにしないと…」
「おいおい、理由もなしに委員会不参加は出来んだろうが」
「あいつには補習という名の大きな理由がありますから大丈夫ですよ」
いってきます!…そういって、土井先生は走っていった。
なんだか、いろんな事実がわかって頭が混乱してきた…
「あ、しまった。土井先生に言い損ねた…」
自分の仕事の書類の束、一番上にある紙をてにとった。そこには就職が決まった生徒の名が書いてある。情報が漏れないよう就職先は記載されていないが、六年生の担任から聞いている。
作品名:君が泣かなくなるまで 作家名:ヴァルヴォル