【カイハク】NoA
カイトからハクへと視線を移し、ノアはにたりと笑った。
「君達は、いい実験材料になるよ」
「エースの君ほどじゃないと思うね」
直後に銃声が響き、ハクが悲鳴を上げる。弾丸はカイトの耳元を掠め、扉に当たったようだ。
「余計な口を利くなよ、ネズミ風情が」
怒りに燃えた声に、ラッドは身を竦める。せめてこの二人は見逃して欲しいと、再度懇願しようとして、
「ネズミ一匹でも、システムを止めたりするんだよ? 君を探す間、僕が何もしてないとでも? この部屋は、もう安全地帯ではないよ」
カイトの言葉に、ノアがハッと身を硬くした。
「さっきの銃声、さぞかし響いただろうね」
ガタガタッ!
窓の揺れる音に、ノアは振り向く。その瞬間を逃さずカイトが飛びかかり、銃をラッドのこめかみから引きはがした。
「ネズミが!」
ノアを突き飛ばしたカイトは、ラッドとハクの手を取り、扉へと駆け出す。
「待て!!」
ノアの制止する声。轟く銃声。けれど、三人は躊躇うことなく、建物の外へ転がり出た。