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親友 あとがき

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ウソップは今日の放課後の二人の姿を思い返しては落ち込んでいた。
二人の姿はよく見かける。そしてよく見かける度に落ち込んでいる。

サンジの幸せを願いたい。
友達の幸せを願いたい。

そう強く思っていても、サンジの優しさや笑顔に触れるとどうしても惹かれてしまう。
気持ちはどんどん強まって、まるで消えようとしない。


「もうしんどいぜ・・・」


最近、サンジの笑顔に上手く答えられなくなってきた。
前はサンジが笑っただけで自分の顔も自然と笑っていたのに、

今は、痛くてしょうがない。


「だめだめだな、おれ。」



その時、ウソップの携帯が鳴った。
画面を見れば、一日中考えているその人。

こんな気分で電話に出たら悪いんじゃないか、
サンジに心配かけたくないしな、
などと出ない言い訳ばかり考えているうちに音が止んだ。

その代わりに家のチャイムがけたたましくなり始めた。
びくりとして一階を伺っていると、母親が出て、玄関を開けた。
謝罪の言葉と上がる許可を貰うと猛スピードで足音がまっすぐこちらに向かってくる。

咄嗟に『隠れなければ』という考えが過り、おれは布団に潜り込んだ。
潜り込んでからこれは全く隠れていないと気付き、寝たふりをしようと決めた。


バタンと大きな音を立てて、自室のドアが開けられた。
もう一度バタンという音を立ててドアが閉められた時、心なしか体がびくついた気がする。
だが、きっとバレてはいないだろう。

「寝たフリなんかしてんじゃねぇ。つか隠れてんじゃねぇよ。」


バレバレだった!!!!


「ウソップ、こっち向けって。」

サンジの声が急に優しくなったので、
ウソップはおずおずとサンジの方に振り返り布団から顔を出した、
が、途端頭突きされた。

痛みで思わず両手でおでこを抑えた後、
文句の一つぐらい言ってやろうと目を開けるとすぐ近くにサンジの顔があった。

(まずい・・顔が赤くなっちまうっ)

ウソップはもう一度布団に包まった。

「おい、出て来いって。」

「・・・いっ嫌です。」

「なんでだよ。」

「・・なっなんででしょう。」

「じゃあ知らね。」

「・・っ・・」

サンジが立ち上がる気配を感じてウソップは布団から顔を出した。
その瞬間、視界がサンジの手でいっぱいになった。
気付いたときには視界からサンジが消えていて。
その代わりにおれの顔のすぐ横にサンジの横顔があって、
ウソップは布団ごとサンジに抱きしめられていた。

「・・サン・・ジ?」

なんで抱きしめられてるんだろうと思い、
思いつくのはサンジに嫌なことでもあったのかということだった。
またおれは自分のことばっかりでサンジが傷ついていることに気付けなかったんだろうかと思い、近いということも忘れてサンジの顔を覗き込んだ。

「ゾロとなんかあったのか?」

サンジはウソップに顔を覗きこまれ一瞬驚いたが、
ウソップの言った言葉に盛大に溜息をついた。

(ナミさんの言ったことは本当だったか・・)

「ゾロとは何もねぇよ。」

「・・そっか。」

傷ついた顔をするウソップに泣きたいのはこっちだと落ち込む。
一体おれがどんだけ・・


「ウソップ、おれのこと好きか?」

「・・っ・・おう。」

「おれもだ。知ってるよな?」

「おう。」

なんでそこまで言い合ってるのに、と天を仰ぎたくなるが、
こんなことで諦めたくはないし、離れたくないし、
絶対に離れていってほしくない。どうあっても傍に居たいと思うから仕方ない。

「なぁ、おれたちは親友だよな?」

「・・・うん。」

「おれの親友は一人だけだ。お前だけ。」

「・・おれも親友はサンジだけだ。」

「そうだ。それでいい。
親友はこれからもおれだけにしろ。」

「分かった。」

「でだ。ここから大事だぞ、よおく聞けな?」

「・・おう。」

「おれはいたってノーマルだ。
恋愛ってのは男女がするもんだと思ってる。今でも。
男女の方が似合いだろ?どう考えても、女同士ならまだ可愛いが、
男同士がくっつきあってたって気持ち悪ぃだろうが。」

「でも、今・・・」

「いいから、黙って聞いてろ。」

「はい。」

「でもな、好きになっちまったもんはしょうがねぇと思うわけだ。
そうだろ?好きになったらもう遅ぇんだよ。相手が誰だろうと。
でもよ、男同士だと彼女じゃねぇだろ?恋人なんてのは照れるし・・
・・だからな、」

「・・サンジ?」

「だからおれにとって親友ってのはそういう意味なんだよ。」

「・・そういう・・って?」

「だから、おれにとって親友っつのは恋人って意味で、
おれの親友はお前だって言ってんだよ!!!!!!」




「ぇ・・・えっ!!!!!????」


作品名:親友 あとがき 作家名:おこた