スターサインプリキュア☆
「ふーっ…全速力で走ったから…疲れたぁ。
でもギリギリセーフ、かな…?あ、結姫―!」
「みのり!思ったより早かったね。もうすぐ発表だよ。」
「そりゃもう…必死で走ったもん…はぁ。弟にはバカにされるし、お母さんとお父さんには笑われるし。散々だ〜。」
こんなに走ったのって体育祭以来じゃないかなぁ…。はぁ、ホントなんか今日ツイてないよ…。
「まぁそう落ち込まないの。あ、来るよ!」
チビな私は他の学生さんに揉まれまくって前があまり見えないんだけどおそらく受験番号が書いてあるであろう紙を持った大人が来たようだ。
「えー、では発表します。」
バサッという音と共に紙が少し高めの位置にある掲示板に張り付けられた。
「あ、あ、えーっと私の番号は…『6891』だ!」
「え、ちょっとみのり、受験票逆に持ってるって。私が『1690』だからあなたは『1689』よ。」
「ホントだ…あはは、なんか数字大きいなあって思ったんだよね。」
緊張してついつい先走ってしまった。
ふぅ、何だかドキドキしてきたな…。
「もう、しっかりしてよ。」
「うぅー見えないよー。結姫!」私は結姫の手を取って強引に前に進む。
「え、ちょっとみのり、あ、いて。すみません…。」
「ほら、こっちぃぃ。ぷはっ。」何とか最前列に。一呼吸おいて掲示板を眺める。
「んーと、『1579、1586…』もうちょいこっちか。『1680、1687、1688、1689、1690…』…。」
結姫と2人で顔を見合わせた。そして、
「あったぁぁぁ!」と抱きついて飛び跳ねた。
やった、ついに憧れの星ノ台高校の生徒になれるんだ!やったぁ!!
「2人とも。最前列ではしゃいでちゃ、後ろの人が迷惑するわよ。」
聞き覚えのある声が私達に注意を促す。
「まぁそう硬い事言うなよ。せっかくなんだからさ。」
「梓!周平!」真田梓(さなだあずさ)と原田周平(はらだしゅうへい)は私達と同じ星ノ丘中学で今回星ノ台高校を受験したのもこの4人だったの。
「でも、私達4人全員が受かるなんて、すごいよね!」
「まぁ、星ノ台はこの辺のトップ校だしな、ある程度勉強しておかないと、だからな。俺達結構頑張ったもんな。」
そうなんだよね、星ノ台高校は結構トップクラスで最初は受験するか悩んだ時期もあったけど、やる前に諦めちゃ全て終わっちゃう!って思ったからやるだけの事はやって、それから考えようって切り替えたの。
「私が相武さんに勉強教えてって頼まれた時は少し困惑したけど、みんなで頑張った甲斐があったわね。私も人に教えることで自分の得意分野、不得意分野も把握しやすかったから、勉強の効率も上がったわ。こちらこそありがとう。」そう、梓は星ノ丘で学年トップ。私は勉強結構苦手だからイマイチどうやっていいのか分からなくて梓にはアドバイスを頼んだんだ。
でもそれがこの1年すごく役に立ったと思うの。
「じゃ、私は合格も確認できたことだし、帰って予習でもしておくわ。」
私達のように大喜びするような素振り1つも見せずに梓は帰ろうとする。
「え、予習ってまだ教科書すらもらってないじゃない。」
「高校で勉強することはある程度参考書を見れば分かるでしょ。少しでも最初に基礎を作っておくと授業を受けた時に知識がある、ないでは差が大きいのよ。じゃ、またね。」と颯爽と去っていく梓。
「さっすが学年1位は違うな。俺はもう帰って寝るわ。安心したら疲れたし。んじゃな。」
と周平も軽い足取りで去っていった。
「私達も…帰ろっか。お母さんたちに報告しないと。」
「そうね、そうしよ。」何だか急に心も体も軽くなって嬉しかった。
私達は軽くスキップしながら家へ向かった。
作品名:スターサインプリキュア☆ 作家名:☆Milky☆