スターサインプリキュア☆
「…心配をかけたね沙織。」
「レオ…」
レオは私達を一通り見てから羽をバサッと広げて右手を前にし、頭を下げてお辞儀をする。
同じ鳥でも春菜のパートナーのピーコとは大違いね…と私は思った。
「皆さんにも大変ご迷惑をおかけしました。助けて頂いた事、大変感謝します。」
「い、いえいえ!」
「こ、こちらこそ!恐縮です…」
レオの行儀の良さにみのりと結姫は慌てながらそう答えた。
「レオ!!」
「沙織…。」
沙織はレオを見つめ、レオは目を細めて…要するに笑顔で沙織に答えているようだった。
「Are you all right now!? I was so…so worried.(もう大丈夫なの!?本当に…本当に心配したんだから…。)」
そう言って沙織はレオをギュッと抱き寄せる。
「え、英語……」
みのりは目を丸くしている。
「…Thank you, Saori. I feel better now.(…ありがとう、沙織。僕はもう大丈夫だよ。)」
『…。』
妖精も英語を話すという異例の光景にみんな言葉が出ない様だった。
私も…少し驚いたわね。
『…レオ君もいいパートナーを見つけたようですね。』
「国王様…。母は今そちらに?」
『いや…最近見ていないんだ。こちらが聞きたいくらいだよ。ネーブと一緒じゃなかったのか?』
「実は…母とははぐれてしまいまして。」
「じゃあお前迷子かよ!?」
アルカスがレオの顔を覗き込む。
「迷子とは聞き捨てならないね。地球には一緒に来たんだけれど、ボクが外の様子を見てくると離れた隙にいなくなっていたのさ。」
「母親が迷子かよ!」
「まぁボクの母は好奇心旺盛な人でね…けれどどこかで元気にしているさ。」
『レオ君は心配じゃないのかね…?』
メラクはレオの冷静過ぎる態度に少し困惑した様子で声をかける。
ロタにも彼ほどの落ち着きがあれば…。
「いえ、いつもの事ですから。居場所は確かではありませんけどこの日本に母もいるようですし、そのうちどこかで再会できるでしょう。」
『そ、そうか…。とりあえず元気になってくれてよかったよ。パートナーの彼女の事は君なら上手くやれるだろう。こっちの状況の事は知っているか?』
「詳しくは存じませんが、何となく。
スタージュエルが散らばり、星も崩壊寸前といったところでしょうか。」
『そういうところだ。おっと、では私はとりあえずここで失礼するよ。また落ち着いたら連絡をくれ。
では!』
そう言ってスターウォッチの通信は途切れた。
「レオ…私は…」
「ねぇねぇ!沙織さんって私と結姫と同い年なんだよね、呼び捨てでいいかな!?
それと英語すごいなぁー得意なの?」
「どうぞ、呼び名は何でも。I’m from…あ、えっと私はワシントン…アメリカのワシントンから来たの。」
『ワシントン!?』
「だから英語ペラペラなんだ〜!!」
みのりが目を輝かせている。
彼女は英語、あまり得意ではないものね。
「名前は日本名だし、ハーフでもないようだけど生まれはこっちなの?」
私がそう尋ねると沙織は首を縦に振った。
「生まれは日本なんですけど…両親の仕事の関係で何回か引っ越しをして…ワシントンに住むのはもう5年になると思います。」
「そう、遠方よりはるばる…よく分かったわね。彼が教えてくれたの?」
「そうです。日本の流星町に行けば分かる、と。では私は帰らないと…レオも治ったし、泊まるところもないので。」
「今日はうちに泊まっていくといいわ。父も歓迎するはずよ。」
「でも…。」
「いいじゃないか、紗織。それにキミにはまだ話がある。」
「…では、お言葉に甘えて。」
沙織はペコッと私に頭を下げた。
「…せっかくなので頂きます。」
先ほど渡したゼリーを口に運ぶ。おいしいと言う彼女の顔はようやく一息ついて少し安堵した様子だった。
その顔を見た時に私は懐かしいあの人…母の姿を彼女に重ねていた。
髪型と少し不思議な雰囲気がよく似ている気がして。
作品名:スターサインプリキュア☆ 作家名:☆Milky☆