スターサインプリキュア☆
「こっちって流星図書館の方だよね?」
みのり達は走ってアルカス達を追っていた。
「ああ、あの中に気配が!!」
「でも、今までにない強い気配…」
「準備はしておいたほうがいいかもしれないわね。」
「こ、怖いよぉぉ…」
あの中に一体誰がいるというの…!?
「みんな、変身しよう!」
『ええ!』
『プリキュア・スターサインイリュージョン!』
私達はスターウォッチを使い変身する。
「こぐま座の溢れる勇気!キュアアルサ!」
「うさぎ座の優しき心!キュアレプス!」
「くじゃく座の強き想い!キュアパーボ!」
「いるか座の美しき旋律!キュアデルフィナス!」
『光り輝く4つの星座!スターサインプリキュア!』
「行こう、図書館の中へ…」
図書館は元々静かな場所だけれどいつも以上に静寂に包まれていた。
人の足音1つ聞こえない館内…
「…!人が倒れてる!」
少し中に入ると図書館を利用していたと思われる人々が倒れていた。
「大丈夫よ、眠らされているだけみたい。」
デルフィナスが倒れた人の様子を見てそう話す。
本が床に散らばっている。子供の本から大人が読むような難しい本まで…海外の本が置いてある本棚まで荒らされている。
「遅かったではないか。」
『!!!』
低くて落ち着いた声…男は私達にゆっくりと近づいて来て顔を上げ、私達を真っ直ぐに見つめる。
「あなたは…?」
落ち着いた色合いの金髪に…全身包帯を巻いている。
左目だけは出ているが露出はそれくらいのもので今までのやつらと比べたら異様な雰囲気を放つ。
「我が名はフィラメント。スター・バーストの…最高幹部だ。」
「最高…幹部。」
「私は本を読むのが好きでな…人間界にも図書館があると知って興味を持ってやってきたのだが…
まぁ何ともお粗末だな。」
「どういう事?」
「役に立つ本などほとんどない、つまらないものばかり…ろくな事が書いていない。子供の本なんて特に。鬼や妖怪が現れても結局退治され、めでたし…。何ともつまらない。大人は大人で…例えばこの本。
愛や友情や仕事の狭間でどれを取るかと悩んでいるバカな主人公…そんなに悩むのならば全てを消し去り、
楽になればいいものを。」
「そ…そんな!」
「唯一…これは中々。」
「宇宙学の本…?」
「ブラックホールは実際に存在すると書かれてある。その通りだ。ま、こういった本など一部を除き、ほとんどがどうしようもないものばかりであった。」
フィラメントは宇宙学の本も投げ捨て、指を鳴らす。」
「さて…雑談が過ぎたな。我が部下が全くと言っていいほど役に立たないものでな。
あいつらがそこまで手こずるプリキュアが…どのような者達なのか、この目で確かめに来たのだ。」
「私達は誰が相手でも…絶対に負けない!だって…」
「仲間か?友情か?」
「…っ」
「そんなもの…関係ないな。全ては力だ。力を持つものが勝つ。私は20年前、全てを失った…
お前達プリキュアのせいでな…。」
「20年前…。」
「ああそうだ。だが私は…力を手に入れた。まだ完全ではないが…必ずこの手でお前達プリキュアを…
木端微塵にするためにな!ハハハハハハハハ!」
「でも…私達は…!」
そして私は手を上げて叫ぶ。
「集え!こぐま座の力よ!プリキュア・アルサアロー!」
光の矢でフィラメントを狙う。
「私も…見くびられたものだな。」
「…!!!矢…が…」
フィラメントは無駄な動きは一切見せず、光の矢をスッと避けたり掴んだりする。
「はぁぁっ!!!」
そしてフィラメントは私に向かって拳を突き出す。
直接当たっていないのに私はものすごい力で後ろに跳ね飛ばされる。
「きゃぁぁぁあああ!」
ドォン!!
『アルサ!!』
「ふっ、大したことないではないか。面構えだけは良かったが力はお遊戯レベルだ。遊び足りなかったが悪い芽は早いうちに摘むのがいいだろう、悪いがここで眠って…」
「プリキュア・シグナスプロダクション!」
「っ!?」
『シグナス!?』
「ギリギリセーフって感じ…かな?」
フィラメントの背後からシグナスが現れる。
「帰って来たの!?」
「ええ、話は後で。でもふいうちが成功して良かった。」
「おのれ…このまま消してや…」
ドォォォォォン!!
『…!?』
すさまじい音と共に辺りが真っ暗な煙に包まれる。
「この気配は…!」
フィラメントが驚いて声を上げる。
煙が消えていきそこに立っていたのは…
『メシエ!?』
「メシエお嬢様!?」
見かけはメシエだ。でも…以前のようないたずらっ子のお嬢様のような雰囲気は全くない。
その頃のメシエとは全く違い、完全に闇に染まったような…重く暗い空気が彼女を包んでいる。
「お嬢様…!いかがなされたのですか!?そのお姿は…一体…」
フィラメントが慌ててメシエに駆け寄る。
だがメシエは持っていた黒く鋭い槍をフィラメントの首元に近づける。
「お嬢…様…。」
「我ガ名ハブラックメシエ。我ハ父ノ命令二従ウ。我二刃向カウモノ、全テ敵ト見ナス。」
メシエは…ブラックメシエは淡々とそう話した。
「私はお嬢様に刃向かうなど、滅相もございません…その槍を下ろして下さい。」
「……フィラメント、オマエの相手ハプリキュアデハナイ。オマエハ帰ッテ新タナル我ガシモベヲ目覚メサセヨ。ココハ私ダケデ十分ダ。」
「…しょ、承知致しました。お嬢様。失礼…致します。」
そう言ってフィラメントはサッと姿を消した。
作品名:スターサインプリキュア☆ 作家名:☆Milky☆