スターサインプリキュア☆
「ごめんなさいね、資料整理をしていたら遅く…あら?そちらの方は?」
「あ、あの、はじめまして!相武みのりです!入部希望で来ました。」
「…そう、そちらの方も?」
「あ、いえ私は彼女の友達で…。」
「じゃ、あなたは関係ないのね。出て行ってくれる?」
「え…?」
「ちょっと、星羅…。」
「ここは放課後、星座研究部のために解放して頂いてるの。関係ないおしゃべり部屋で提供するつもりはないわ。あなたも自分の部活を決めたのならそちらへ行きなさい。」
「ちょ、ちょっと待って下さ…」
「星羅!せっかく来てくれた新入生に何てこと言うの!?
この子だってまだ部活決めた訳じゃないんだからいいじゃない。」
「…まぁいいわ、じゃあそこのあなたもテスト受けていきなさい。」
『テスト!?』部員全員でハモった。
「ってえ、先輩たちまで驚いてどうするんですか!?」
「私の時はそんなのなかったわよ!?」
「俺らの時も…なぁ?」
「ああ。」
「それはそうね、今年からすることにしたのよ。
有能な部員を育てるためにね。あなた達もそのうち受けてもらうわよ。成績悪かったら落とすから。」
「マ、マジかよ…。」
「…。」
「ゆ、有能って部活って楽しんでやるものじゃないんですか?みんなで天体観測に行ったりとか…。」
「私は昔のように伝統のある星研に戻したいの。この星研から、優秀な卒業生を出して、将来有名な宇宙飛行士や研究員を輩出できたらこの部活にも学校にも活気が出るわ。なのに今は全然。まるで星を見るのが趣味なだけで集まってる同好会みたいでこれじゃ、先輩たちに顔向け出来ないわ。」
部長さんは表情を変えずに淡々と言う。
この人は一体…。
「そ、そんな事ないと思いますけど…。」
「あなたがどう思おうが私には関係ない。郷に入れば郷に従えと言うでしょ。」
「星羅…。」
「部長、そんなんじゃ新入部員全員逃げちゃいますよ。」
大崎さんが少し呆れたように言う。
「私の方針に文句があるなら出て行ってもらっていいのよ。私は一人でもこの部活を存続させ…」
「分かりました!!」
『…?』
「私、テスト受けて必ず合格して、部員になってみせます。
そして…この星研をもっと明るく楽しい部活に変えてみせます!」
「みのり…!」
「今来たばっかりでこんな事言うの偉そうに思われるかもしれないけど、部長さんの考え、少しおかしいと思います。確かにここは伝統ある星研だし、部長さんが言ってる意味も分からなくはありませんが…でも、星や空を見るのが好きでそういう事話してて楽しいとかそういう人が楽しく語り合える場所でも十分だって私は思います!研究や勉強も必要かもしれないけど、少しでも多くの人に天体に興味を持ってもらって、そこから環境とか、色んな分野に広げて、興味がある人はそういう研究すればいいし…。その何て言ったらいいのか分からないけど…。」
「…あなたが何を言おうと今の部長は私なの。部員でもないあなたが口出しできる立場じゃないわ。」
「す、すみません…。」
「これがテストよ。やってみなさい。」
「全部で10問…何だか難しそう。」
「やるの、やらないの?」
「…やります!」
「ほら、あなたも渡すわ。星研がどれだけレベルの高い部活か体感してみなさい。」
そう言って部長さんは結姫にも問題用紙を手渡す。
「む…難しくて全然分かんない…。あ、でも第一問のこれは簡単ね!
「現在、天文学的に用いられる星座の数はいくつか。」12個でしょ!」
「結姫…。結姫は何座?」
「私牡羊座よ?もー、知ってるでしょ?」
「あ、いや、そうじゃなくて…とりあえず、天文学的に認められている星座は88個あるのよ。
星占いで有名な12星座はもちろん、こぐま座やうさぎ座も全て含まれてるのよ。」
「へー…知らなかった…。そんなにたくさんの星座があるのね〜。」
「相武さんよく知ってるのね。」
「あ、はい、まぁ…。」
「プリキュアも意外にこういう勉強になるんだ…。」
「ちょ、ちょっと…!」
「プリキュア?」
「あ、違います!昔、プリキーアっていうお菓子屋さんがあってそこのお菓子の名前に星座の名前が…。」
「へー、食べてみたかったなー。」
「…あなた達、テストしてるんでしょ?真面目にしたらどうなの!?」
部長さんがダンッ!と教卓を叩く。
こ、この人怖い…。
『す、すみません…。』
「…。(でも、確かに何も知らない人だと意味不明な問題に見えるかも知れないけど…私は好きで自分で調べたりもしてるから結構分かる…!この問題を見る限り、部長さんはめちゃくちゃな問題を出してる訳じゃない。部長さんもきっと天体の事がすごく好きなんだ…。)」
作品名:スターサインプリキュア☆ 作家名:☆Milky☆