スターサインプリキュア☆
「ちょ、ちょっとすみません…。」
私は部室を出て人気のない廊下の端っこへ行き、そっとスターウォッチに触れる。
するとパカッと開き、スターウォッチが光って映像のようなものが浮かび上がる。
「コラ!!!アルカス!!お前は人間界に到着して何日経ったと思っておるのだ!少しは連絡をよこせ!!」
「……う、うわぁ…。」
何か言おうとはしたんだけどあまりにも唐突過ぎて何が何だか…。
スターウォッチはその名の通り時計と、後は変身機能しかないのかなって思ってた…。
これは何なのかな…アルカスを呼んでる…男の人、じゃなくてクマ…。
まさか…
「お父さん!?」
「む、むむ…そこの方、すまぬがもう少しスターウォッチから顔を遠ざけて頂けますか?」
「あ、はい。」
私は言われるがままにスターウォッチをはめた右腕を顔から遠ざけていく。
「人間か!そなた、人間だな!アルカスのパートナーか?という事はそなたがプリキュアか?そうなのか?いやぁ…あいつでも上手くやりおったか…それで今あいつはどこに?」
「え…えっとその…」
「ああ、すまんすまん、少し興奮して一気に聞きすぎてしまった。
では、とりあえずそなたに単刀直入に聞く、そなたはプリキュアか?」
「はい、キュアアルサって何か変身しちゃってダークマターとか相手に戦ってます。
まだ何かよく分からないけど…あ、あの、他の仲間もいるし、アルカス達もいた方がいいだろうから後でかけ直してもいいですか?ここ学校ですし、長話は出来ないので…。」
「おぉ、それはすまなかった。では後ほど楽しみにしている。」
そこで映像は途切れた。
…何かアルカスとは全然雰囲気違うなあ。私は率直にそう思った。
よし、これは第一回プリキュア会議をしなきゃ!
「野木先輩!」
私は部室の扉を開けると同時にそう叫んだ。そこには部長さんも帰って来ていた。
「あ、部長さんもちょうどいいところに!ちょっとお話が…!」
私は2人と共にまた人気のないところへ行く。
「どうしたの?相武さん。」
「何か問題でもあるの?」
私は先ほど起こった出来事を掻い摘んで2人に話した。
「これ…通信機能もあるのね…。」
野木先輩は自分のスターウォッチをまじまじと見つめる。
「異世界との通信、興味深いわね。いいわ、今日は解散して相武さんの家で続きを……何?」
私と野木先輩は少しにやけた顔で部長さんを見つめていた。
「だって…ねぇ?」
「はい…!部長、プリキュアの件もちゃんと仲間になってくれるって決めて頂けたんですね!
私、すっごく嬉しいです!」
「…乗り掛かった船よ。父の事も助けてもらったし、私自身も…母の事を改めて知れた。
今更断る理由なんてないわ。それに、異世界に怪奇現象、はたまたそこに壮大な宇宙が絡んでいるとすれば最高の研究材料ね。何か新しい発見でもすれば世界的な賞が取れるかもしれない。
私はその絶好のチャンスを利用するだけだわ。」
『…。』
「何か?」
「変わったようで変わってないような…。」
「でもそこが星羅らしくて好きよ、私は。」
「そうですね、部長さん、何だかかわいいです。」
「…あなた達、何だか気持ち悪いわよ…。」
作品名:スターサインプリキュア☆ 作家名:☆Milky☆