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Wizard//Magica Infinity −3−

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………

「見ろ。どうだ?」

「おいおいハルト、女の子にそんなマニアックな本を自慢気に見せるもんじゃないよ」
「違うよおっちゃん!これは俺の物じゃないから!しかもこんな趣味ないし!」
「他人のものを借りてきてまで見せびらかすなんて、そんなにハルトは…」
「だから違うって!」

「まさか本当に無傷、しかも見つからないでとってくるなんて、今回ばかりは褒めるわよ、ハルトくん」
「さっすがハルト先輩!僕ができないことをようようとやってのけるなんてっ!そこに痺れます!憧れますぅ!!」

今日は休日の為、学校は無い。そのため探検部の部活動は俺が住んでいる輪島のおっちゃんが経営する玩具店の休憩室が俺たちの第2の部室となっている。
この店は面影村優一の玩具店だ。まだ村には子供がいるため重宝されており経営もまあまあな状態である。一ヶ月に数点しか仕入れないゆえ品揃えはあまり良くなく売れ残りも激しいため結構数年前の在庫も陳列されている。それでも外からマニアが探し求めて買いに来る為、そこに漬け込んだおっちゃんがやや高値で取引し、一長一短と言った感じか。生活に苦労はしていない。

「そんなものより、これを見てくれハルト。今放送中の特撮で変身するカブト虫型のベルトだ。いや~最近の変身ベルトは良くできているねぇ。俺もこれにはたまげたよ」
「いや、流石に俺はそんなので遊ぶ年じゃないし」
「へぇ!すごいですね!!このカブトムシをこのベルトに装着して…うぉぉ!音が鳴った!光った!!」

瞬平は俺とコヨミが精神をすり減らして盗んできた人妻系のエロ本を差し置いてそっちの変身ベルトに無我夢中になり始めた。そんな瞬平とは裏腹に凛子ちゃんは唐突に話しかけてきた。

「そういえばハルトくん。コヨミちゃんから聞いたけど、人妻が好きって本当なの?」
「んなわけないでしょ。コヨミも何適当なこと言ってるんだよ」
「ハルトがあんなに息が荒かったから」
「もっと別な理由があるとは考えつかなかったのか」

あぁ、凛子ちゃんの目がキラキラと光り始めた。凛子ちゃんが面白い事を見つけた証拠だ。こうなってしまえばもう逃げることができない。

「じゃあさ、ハルトくんはどんな子が好みなの?」
「はっ…えっと…何言って…別にそういうのは特に…」
「特にないわけないじゃない。あなた何歳なの?年頃でしょ」
「じゃあ凛子ちゃんは誰が好みなのさ!最初に教えてよ」
「いない。で、ハルトくんはどんな子が好みなの?」
「振り出しかよっ!」
「いないのだからしょうがないじゃない。例えばさ、あ!あの英語の先生とか!」
「年上に興味はない。それより凛子ちゃんは…」
「いない。だったら比奈ちゃん?」
「まだ小学生じゃない!!だから凛子ちゃ…」
「いない。じゃあコヨミちゃん?」
「え?」
「あっ…」

「ふふっ!何赤くなってるのよ二人共!」
「なっ違っ!!」
「えっ…」
「いや、違うぞコヨミ。今のはそう言う意味の違うじゃなくって…」
「じゃあどういう意味の違うなの?ハルトくん」
「っ…あぁもう!!」

俺は自暴自棄になりこの場に居てもたってもいられず休憩室の奥にある給湯室へと逃げた。しかしそのあと今度はコヨミにターゲットが移ったらしく、永遠と凛子ちゃんに質問攻めされているみたいだ…許せ、コヨミ。

「はぁ~」
「どうやら今日も凛子ちゃんに目を付けられたようだね。ハルト」
「おっちゃん」

おっちゃんはケトルに電源を付けお湯を沸かし始めた。お茶を入れるみたいだ。俺は棚からお菓子を取り出し皿の中に開けていく。
「よかったな、ハルト。今はあんなに楽しい友達ができて」
「毎日がてんやわんやだけどね」
「それでも、お前も昔と比べて見違えたよ。俺は本当に良かったと思っているんだ」
「そっか…」


昔の俺と見違えた…か。


俺は、最初からこの輪島のおっちゃんに育てられたわけではない。
おっちゃんは俺の父親ではないのだから。


作品名:Wizard//Magica Infinity −3− 作家名:a-o-w