彗クロ 4
「ええ、わたくしこそ。この三年間で、いちばん素敵な夜でしたわ。今宵この時、共にできたことを感謝いたします。……本当にありがとう、レグル」
「お、おぅ……」
「いずれまたバチカルにおいでの折りには、是非この街を案内させてくださいませ。もっとたくさんおしゃべりしましょう」
「た、たぶんねーと思うけど……ま、気が向いたらまた来てやるよ。じゃな!」
思いのほか大仰な感謝の気持ちが照れくさくて、レグルはそそくさと背を向け走り出した。心臓が羽ばたいていってしまいそうなこのくすぐったい感情に、名前はまだつけないことにして。