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Wizard//Magica Infinity −4−

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………

「ハルトせんぱ~い!凛子さんが呼んでますよ!」
「…え、凛子ちゃんが?」

放課後、いつものように後輩の俊平が俺達を呼びに来る時間帯だったのだが、今日は少し違った。
普段なら「部活に行きますよ~」とハイテンションで来る筈なのだが、今回は俺が凛子ちゃんに指名される形となった。

「どういうことだ俊平、部活は?」
「今日はコヨミさんがいないから休みですって!あ、凛子さんなら体育館にいますよ!」
「あ、あぁ…お前はどうするんだ?」
「僕…僕はえっと、ははっ!おばあちゃんの農作業の手伝いします!じゃあ僕帰りますんで、また明日!」
「あぁ、じゃあな俊平」

俊平を見送り、カバンを持って体育館へと歩き始める。
見慣れた校舎、何度も登ったり降りたりした階段、変わらない外の風景。
俺は周りの光景を見渡しながら体育館に入った。

すると、普段の格好の状態で竹刀を素振りしている凛子ちゃんがいた。
空気が切れる音を出しながら何度も何度も…。

「凛子ちゃん、来たよ」
「お、早いねハルトくん」

汗を流しながら凛子ちゃんは竹刀を俺に差し出す。
なるほど、練習相手ね。

「今日も手加減頼むよ」
「いいえ、今日は本気で行かせてもらうわ」
「えっ…て、ちょっと!」

−バシっ−

凛子ちゃんが急に本気で竹刀を振り下ろし、俺はすかさずそれをガードする。
竹刀と竹刀のぶつかる音が体育館中に響き渡り、空気に振動が走る。
「重っ…」
「っ!」
「いっ…危なっ」
凛子ちゃんはすかさず俺の脇腹に入れようとする。なんとかそれもガードするがあまりに重い一撃のため両手が痺れ始めた。
間違いない、凛子ちゃんは一切手加減していない。
本気で俺に一本入れるつもりなんだ。

「どういうことだよ凛子ちゃん!説明してよ!」
「説明も何もないわよ、本気で練習相手になってと言っているだけよ」
「なっ…どうせいつもの思いつきかなんかなんでしょっ!」
「えぇ、いつもの気まぐれよ…そこっ!」
「っっっっ!!!!」

俺の脇腹に衝撃が走る。
そうだ、凛子ちゃんの一撃が俺の脇腹に入ったのだ。
気付いたときにはもう遅い。
じわりじわりと叩きつけられた感覚が広がり激痛となる。
あまりの痛さに竹刀を落とし、腹を抱えてその場に座りこんでしまった。

「痛い?」
「いったぁ…痛いにっ…決まってるでしょっ…う…」
「そう…痛いのね。ハルトくん、もう一度」
「っ!ちょっと、待てって!っ!!」

凛子ちゃんは俺に休む時間も与えず再び竹刀を振り下ろす。
防衛本能で俺は両手を頭の上にしそれを防いだ。

「っっっ!!!!あぁぁぁっ!!!!」
「あなたは竹刀を持っている相手に対して手で防御するの?これが真剣ならハルトくんの腕は既に切断されてるわよ?」

脇腹の次は両手に激痛が走る。
やばい…このままじゃ俺がボロボロにされる。
対処法は知っている。
凛子ちゃんに一本入れれば良い。
そう考えた俺は右手に竹刀を持ち凛子ちゃんの脇腹に突きを繰り出した。

「甘いっ」
「えっ…あがぁぁっ!!!!」

俺の突きはいとも簡単に流されそのまま右肩に一本入れられてしまった。
だが今度は竹刀を離さず、がむしゃらに抵抗する。

「はぁっ!はぁっ!」
「どうしたの?いつものハルトくんはもっと動きに機敏があるわよ」


それから何度も何度も抵抗し、その度に凛子ちゃんに打たれていく。
次第に目に映る傷が増えていき、身体中がボロボロになっていった。

激痛は身体中に広がっていく。

こんなにも抵抗しているのに凛子ちゃんの身体にかすりしらしない。


「はぁっはぁっ…はぁっ……」
「…ふぅ。一旦休憩」
「うっ…あ……」


その言葉と同時に視界がぐらつき、身体の感覚が無くなる。
平衡感覚を失い無重力状態になった俺は重力に身を任せ倒れてしまった…。



・・・


「…んあっ……」
「起きた?ハルトくん」
「あ……凛子…ちゃん…」

次に目を覚ましたときには既に夕方だった。
体育館のど真ん中で俺は凛子ちゃんに膝枕をされていた。
頭には濡れタオルが置かれている…ひんやりと気持ち良い。

「ありがとう凛子ちゃん…うっ…痛てて」
「はい、水よ」

身体を起こし凛子ちゃんの隣であぐらをかく。水の入ったペットボトルを渡されて俺は一気に体の中に流しこんだ。

「どう?私強かったでしょ」
「強いもなにも…結局最後の最後まで凛子ちゃんにカスリ傷一つすらつけられなかったよ」
「それでも、私より強い人なんて、この世にいくらでもいるのよ?」

凛子ちゃんも水の入ったペットボトルを一気に飲み干した。
結局、凛子ちゃんは何がしたかったのだろう。
今だに理解できなかった。

「ハルトくん、あなたは今、この時間が幸せ?」
「えっ…どうしたのさ急に」
「答えて。お願い」
「えっと…うん、嫌いじゃないよ」

「そう………」
「っ…。」

また、その表情だ。
どうしてそんなに悲しげな顔をするんだ。

すると凛子ちゃんは急に立ちだし、俺を見つめた。


「少しだけ私の話、聞いてくれる?」
「…うん」


凛子ちゃんが自分の話をするなんて珍しい。
人の噂程度でしか聞いたことがないのだから尚更だ。
凛子ちゃんは何かを決心したような顔をして口を開き始めた−−−。


作品名:Wizard//Magica Infinity −4− 作家名:a-o-w