Wizard//Magica Infinity −4−
・・・
私は、いつも自分の思うがままに生きてきた。
やりたいことは全て実行した。
たとえそれが自分の利益にならないことでも、全てを受け入れて生きてきた。
後悔なんてしていない。
それが私の生きがいだったから。
私はこの村に来る前は剣道部の主将、自分で言うのもあれだけど、かなりの実力を持っていた。
県の大会の選手に何度も抜擢されるぐらいにね。
そんな私に一つだけ、悩みがあった。
私は、この世に生を受けてから「家族」を間近で感じたことは一度も無かった。
私が物心着く前に父親と母親は喧嘩に明け暮れる毎日、ついには私を残して母は去っていた。
それから父親は毎日飲み明け暮れる毎日、幼い私を残してパチンコや飲み屋…そんなの当たり前だった。
だけど私はそれが不幸だとは感じてなかった。父親を恨むこともなかった。
目の前にいるのが自分と血のつながった父親という存在があったから…それだけでも心の支えになっていたの。
だから、私は考えた。
人に頼っちゃいけない。なんでも自分でするんだ。
父親が若い時に稼いだ莫大な貯金を少しずつ下ろし、生活はなんとかできた。
炊事、洗濯、家庭に必要な事は少しずつ覚えていった。
辛いことなんてなにもない。
今を受け入れよう。
そして今以上に素晴らしい明日を迎えよう。
そうして、年月が過ぎていった…。
だけど、世間は暖かくはなかった。
私が中学校に入学した時、周りの親が私を見る目はとても冷たかった。
あの汚職警官の娘だって…何度も影で言われ続けた。
次第に私の周りから友達がいなくなっていった。
全てはその子達の親の影響だ。
きっと私に関わるな…とでも言われたのだろう。
それでも、私はくじけなかった。むしろ、父親を馬鹿にされた怒りが何度もこみ上げてきた。
だったら実力を見せつけてやろう。
下校中に目に入った地元の道場のチラシを見かけると同時に私は剣道を始めた。
あの汚職警官の娘…とではなく、相当な実力を持つあの警察官の娘と言われるまで、私はずっと周りと戦い続けた。
すると、周りの人達は少しずつ私を受け入れ始めた。
ようやく…あともう少しで理想に手が届く…。
だけど、また世間は私を陥れた。
父親に転勤の令が出された。
私は住み慣れた街を出て行くこととなった。
それもそのはず、周りから汚職警官だ税金泥棒だ言われ続ければ、警察の上層部としても顔が無くなってしまうだろう。つまり、私の父親は島流しにされたの。
あともう一歩のところで私はまたしても掴みそこねた。
だけど、私は後悔していない。
この村に来て、また新しい仲間とめぐり会えたのだから−−−。
作品名:Wizard//Magica Infinity −4− 作家名:a-o-w