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機動戦士ガンダムRS 第28話 閃光の刻

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「アラスカとのコンタクトは?」
 バジルール副艦長がロメロ軍曹に質問した。
「通信状況悪くまだ取れません」
 ロメロ軍曹の回答にバジルール副艦長とラミアス艦長がため息をついた。
「このままいけば明日の夕刻には、北回帰線を越えられるわ。
そうなれば連絡も付くでしょう」
 ラミアス艦長がアラスカと絶対に通信が繋がる位置を予想した。
「指揮官は、あの死神です。
あの後こちらを見つけられずにいればいいのですが」
 バジルール副艦長は、北回帰線を越えるまでは気を抜かないようにしていた。
「因縁の隊ね。
確かにしつこいわ」
 ラミアス艦長もサオトメのしつこさに飽き飽きしていた。
「それにしても何でサオトメは、追い討ちしてこなかったんでしょうか?」
 不意にノイマン少尉がそんなことを言った。
「機体に何かトラブルが起きたんじゃないでしょうか?」
 フレイ二等兵が楽観的に答えた。
「敵は、死神よ。
ちょっとやちょっとのトラブルでは、死神は攻撃をやめないはずよ。
アルスター二等兵は、楽観的に物事を見るな」
 ラミアス艦長は、フレイ二等兵をしかった。
しかしバジルール副艦長は、少し考え事をしていた。
「お言葉ですがアルスター二等兵の言葉が完全に楽観的だとは、思えません」
 バジルール副艦長の意外な言葉にラミアス艦長は、ともかく皆が驚いた。
普通ならこういうとき真っ先にしかるのがバジルール副艦長だったからだ。
「私は、以前『熟練パイロットとはどういう人物か』という質問をクルーゼ大佐にしました。
大佐は、『手負いの獲物を目の前に自分が生き残るために攻撃をあきらめられる潔さを持つパイロット』だとお答えになりました。
ですからサオトメもおそらく生き残るためにわれわれへの攻撃をあきらめたと考えられるかと思います」
 バジルール副艦長が自分の考えを述べた。

        ※

 ドゴス・ギアの食堂ではウォーレン少尉が隠密型ガンダムを墜落させたときの状況をトリッピー曹長、ニール少尉とスティーブ少尉に状況を話していた。
「正直あの時は、無我夢中だったよ。
何度も何度も撃墜されないようにビームサーベルでつばぜり合いをするのに必死だったんだけどキグナン少尉が突破口を開いてくれたからとっさに接近して」
 そのとき食堂にいた皆が笑った。
「でもあれは、ほんとに凄かったよ。
いつの間にあんなことできるようになったんですか」
 話を聞いていたトリッピー曹長が質問した。
「シュミレーションも大分やってるし同じ相手だから戦法も覚えてきたんだろう」
 ニール少尉がウォーレン少尉の戦果の理由を言った。
「でも俺の戦果だって皆がいたからだな」
 ウォーレン少尉が不意にそういった。
「そうだな。
俺たちは、サオトメ隊長の指揮する最高のチームだ」
 スティーブ少尉が威勢よくそうそうと4人は、水で乾杯した。

        ※

 サオトメは、整備班の待機部屋で整備班長に紅茶を淹れてもらった。
ガンダムサイガーの整備の結果を聞きに整備班の待機部屋に呼ばれたら紅茶を淹れられ話されたのは、正直聞きたくもない紅茶に使われている葉の特徴やら淹れ方だのどうでもいい話だった。
しかしそれでサオトメも察した。
すなわちガンダムサイガーの状態は、そんなどうでもいい話をしなければ切り出せないほど『深刻な状態』だということだ。
サオトメも一口紅茶を飲んでから本題に入ろうとした。
(うまい)
 サオトメもあまり色々な紅茶を飲んだわけでは、ないのだがその中で一番おいしいと感じた。
そのせいで危うく本題に入りそびえるところだった。
「本題に入らせてもらうがガンダムサイガーの状態は、どうだ?」
 サオトメが本題に入った瞬間整備班長の表情が曇った。
「はっきり申し上げますとガンダムサイガーの状態は、最悪です。
少佐の超絶的な反応速度で機体のバイオコンピュータがオーバーヒートしないようにいつ反応速度を下げるかわかりません」
 整備班長の話は、深刻だった。
すなわち『反応速度を下げる』という意味は、サオトメには『機能停止』という意味と同義だった。
「ALICEが導き出した抜本的な解決策くらいあるだろ?」
 サオトメが解決策について質問した。
ALICEの演算処理能力を以ってすれば解決策のひとつやふたつくらいは、導いてくるだろうと考えていた。
「サイコフレームへの換装です」
 整備班長が暗く答えた。
その回答にサオトメも表情を曇らせた。
サイコフレームは、サイコミュの基礎機能を持つコンピューター・チップを金属粒子レベルで鋳込んだ特殊合金で作られたフレームである。
これとサイコミュシステムを搭載することで機体自体のレスポンスを飛躍的に向上させニュータイプ能力をマン・マシーン操縦という面で最大限発揮することが出来る。
しかしこれは、生産コストと整備性が著しく低いためニュータイプ素質があるからといっておいそれと採用するわけにはいかなかった。
 サオトメも自分がそれに含まれているとわかっていたため打開策なしという状態だった。

        ※

 キラ少尉は、1人モビルスーツデッキでストライクガンダムを見ていた。
右肩に乗っていたトリィが左肩に移った。
キラ少尉は、またニコル大尉が死んだときのことを思い出していた。
(サオトメ)
 キラ少尉は、心の中でそう叫んだ。
すると突然トリィが鳴き頬ずりをしてきた。
キラ少尉は、トリィのおかげで少し気分が和らいだ。
キラは、初めてアスランからトリィをもらったときの事とオーブでサオトメからトリィを返してもらったときのことを思い出した。
そしてキラ少尉は、バラディーヤでのサオトメとのやり取りを思い出した。
(恨みに恨みが重なって)
 キラ少尉は、サオトメの言葉を心の中で反復した。
そのときトリィが飛んでいった。
(どちらかが滅ばない限り戦争は、終わらない?)
 サオトメの質問をキラ少尉は、自問自答してみた。
「そうですね。
どちらかが滅ばない限り戦争は、終わりませんね」
 キラ少尉は、今この瞬間サオトメの質問に答えた。

        ※

 η艦隊は、アーガマもどきをキャッチした。
「センサーに艦影。
アーガマもどきです」
 ステファニー軍曹が報告した。
「間違いないか?」
 ブライアン艦長がステファニー軍曹に確認した。
「間違いありません」
 ステファニー軍曹が自信を持って答えた。
ブライアン艦長は、モニターに周辺海域の地図を出した。
「島だらけの海域だな。
日の出も近い。
仕掛けるには、有利か」
 ブライアン艦長は、地形を確認しどちらが戦闘に有利か判断した。
「出撃命令を出しますか?」
 マーネリー軍曹が確認した。
「無論だ。
今度こそアーガマもどきを沈めるんだ。
これがラストチャンスだ」
 ブライアン艦長は、これがアーガマもどきを沈められるラストチャンスだと皆にいい鼓舞した。

        ※

 アークエンジェルは、日の出にその白亜の船体を照らしながらアラスカへ向かっていた。
 トール二等兵は、その日早起きしてスカイグラスパーの訓練のためモビルスーツデッキに向かった。