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瀬戸内小話1

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他愛もない話



「広いな、この城は」
「そうであろうな。この郡山全てが我が城ゆえ」
「城内に、家臣を住まわせてるんだろ?」
「ああ」
「便利か?」
「なにかとな」
「……そうだよな」
「貴様の城も、改築すればよい」
「簡単に言うなよ。金子がねぇ」
「……貴様は、四国の主であったと記憶しているが?」
「色々と入り用なんだよ」
「どうせ、役にも立たぬからくりを作っているのであろう」
「役に立たないって言うな。アレは四国の種子島だ」
「……にしては、脆かったな」
「お前みたいな規格外がそうそう居てたまるかっ」
「まあよい。貴様も譜代の家臣は、手短に置いておけ」
「……ここの城下は、いいな」
「……」
「今、田舎もんが、と思っただろ?」
「よく分かったな」
「分からないでか。ふざけんなっ」
「豊かな国は、……争いばかりでは生まれぬ」
「…………そうだな」
「貴様もこれから作ればよい。我に負けぬ豊かな国を」


作品名:瀬戸内小話1 作家名:架白ぐら