二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

瀬戸内小話2

INDEX|6ページ/16ページ|

次のページ前のページ
 

寒風



 その細い背は、驚くほど大きく、悲しいほど小さい。
 ただ、どんな時もすべてを拒む。孤独と孤高を混ぜ合わせた様で、ただ真っ直ぐ前を見つめ、時を見つめ。
 人としての生き方を捨てた男は、多くの領地から失ったものの代償を手に入れたのだろうか。

 おそらくは、そんな風に感じるこちらの感傷など、彼は気にもしないだろう。
 一切のことを拒絶していれば、そこに感情など存在しなくなる。麻痺し、劣化し、後には何も残らない。

 拒む背を抱きしめると、放せと一言。それでも抱き続ければ、この男の身の内に再び炎が灯ることはあるのだろうか。
 そうさせてやりたいと願う一方で、それがこの男にとっての望みとならないことも確かだろう。

「――寒いな、元就」
 腕の中の小さな身体は何も応えない。
「このままじゃ、あんた、凍えちまうぜ」


作品名:瀬戸内小話2 作家名:架白ぐら