あなたと会える、八月に。
そうジュリアスが言ったとおり−−
嘆息してリュミエールは、駐車場から外に出て、より海が近く見える場所へとゆっくり歩いていく。
葬儀では、ロザリアの一挙一動に注目が集まる。
人々は判断しようとしている−−この娘が、カタルヘナ家の次の主たるのかどうか。
しかも、たぶんそのほとんどがロザリアを、好意を持った目で見ることはない。
ロザリアが住み、ロザリアを取り囲む今の世界は、なんと非情で、なんと過酷なものなのだろう。
そして。
リュミエールは海の上の、件の小屋に目を転じながら思う。
そのロザリアの上に注がれるジュリアスの愛情は、なんと強くて……けれど、なんと厳しいものなのだろう、と。
私にはできない。
私にはとても、あのような愛し方はできない。
けれど。
そのような愛し方もあるのだと、最近わかってきたような気はします、とリュミエールは、不在のジュリアスに向かい心の中で呟いた。
作品名:あなたと会える、八月に。 作家名:飛空都市の八月