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飛空都市の八月
飛空都市の八月
novelistID. 28776
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あなたと会える、八月に。

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 そうジュリアスが言ったとおり−−
 嘆息してリュミエールは、駐車場から外に出て、より海が近く見える場所へとゆっくり歩いていく。
 葬儀では、ロザリアの一挙一動に注目が集まる。
 人々は判断しようとしている−−この娘が、カタルヘナ家の次の主たるのかどうか。
 しかも、たぶんそのほとんどがロザリアを、好意を持った目で見ることはない。
 ロザリアが住み、ロザリアを取り囲む今の世界は、なんと非情で、なんと過酷なものなのだろう。
 そして。
 リュミエールは海の上の、件の小屋に目を転じながら思う。
 そのロザリアの上に注がれるジュリアスの愛情は、なんと強くて……けれど、なんと厳しいものなのだろう、と。
 私にはできない。
 私にはとても、あのような愛し方はできない。
 けれど。
 そのような愛し方もあるのだと、最近わかってきたような気はします、とリュミエールは、不在のジュリアスに向かい心の中で呟いた。