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飛空都市の八月
飛空都市の八月
novelistID. 28776
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あなたと会える、八月に。

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◆6

 心配しないで、ジュリアスはすぐに後から来るからとアンジェリークから言われ、その間に海で泳いでみたいのとせがまれたロザリアは、穏やかに笑んで頷くリュミエールと共に海岸へ出た。
 いつものように−−どうやら海での話は聞いているらしい−−小屋まで泳いできていいのよ、とアンジェリークに言われたけれど、ロザリアは苦笑して首を横に振った。
 「ジュリアスから、自分のいないときは一人で長く泳ぐなと言われてますの」
 波打ち際でちゃぷちゃぷと水と戯れているアンジェリークに向かい、ロザリアが言う。
 「……リュミエールがいても?」
 ジュリアスの言い様に驚いたアンジェリークが思わずそう言ったけれど、横でリュミエールがくすくすと笑った。
 「陛下……ジュリアス様とわたくしとを一緒になさっては」
 「あ……そっか」
 「妙なところでわたくし、相変わらず十二歳だかの子どもの頃のままらしいですわ」
 そう言って笑うロザリアを、アンジェリークは眩しげに見ている。
 「……どうなさったの?」
 「え……? あっ」少し照れたようにしてアンジェリークが笑う。「いえ、何だか不思議だなぁって思って」
 「わたくしとジュリアスのこと?」
 「女王試験の間は全然気づかなかった」
 「そりゃあ」くく、と笑ってロザリアは言う。「ああいう人ですし」
 「……そうね、ああいう人だし」うんうんと頷き、アンジェリークも笑う。「ね、そうよね、リュミエール」
 同意を求められてリュミエールは、困ったように「さあて……」と首を傾げた。
 そうして笑っていたアンジェリークはしかし、ふと真顔になった。
 「ロザリア」
 急に呼ばれてロザリアはその、真顔になったアンジェリークを見やる。
 「あの指輪……持ってきてる?」
 「え……ああ」一瞬何のことかわからなかったロザリアは、慌てて頷いた。「ええ、そろそろジュリアスが来る頃かと思って外してはいますけど……なるべく身につけていたいから」
 そこでロザリアは、何よりも先に指輪の礼を言わなければならなかったことに、はたと気づいた。
 なんて無礼なことを! いくらあの指輪をいただいてからずいぶん時が流れたとはいえ……。
 波打ち際で水に浸かったままロザリアは、アンジェリークに向かい深く頭を下げた。
 「申し訳ございません。せっかく素晴らしいものを頂戴しておきながら礼も申し上げずに」
 「あ、あ、あのっ、そんなことじゃなくて」
 ロザリアよりむしろ、アンジェリークの方が慌てふためいてブンブンと強く首と手を横に振る。
 「あの指輪ね……私に返してほしいの」
 「……え?」