あなたと会える、八月に。
◆8
「今度こそ……受け取ってくださいね、ジュリアス」
にこ、と再び人なつこい笑顔を見せて女王−−アンジェリークが言う。
「は……」
少し苦笑したもののジュリアスは、深々と頭を下げてその指輪を受け取った。そしてロザリアの元へ行くと「手を」と言った。
言われるままに、ロザリアが手を差し出す。その指が少し震えてしまっているのはどうしようもない。案の定ジュリアスがそれに気づいて、きゅっ、と軽くロザリアの指を握った。握って震えを止めさせると、おもむろに指輪を挿し入れた。
まだよく事情のつかめないロザリアの肩を抱いて椅子に座らせるとジュリアスは、アンジェリークに軽く会釈した。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」そう言ってアンジェリークはロザリアを見る。「ごめんなさいね、ロザリア。驚かせてしまって」
「あ……はい……あのでも」
ロザリアが問おうと、たった今ゼフェルが外した石を見たが、ゼフェルはそれをリュミエールに見せている。
「ほらこれ。すげーな」
「本当に……とても……」ゼフェルがそれをリュミエールに渡そうとしたが、リュミエールは首を横に振った。「畏れ多くてとても……」
「リュミエールってば」苦笑してアンジェリークが言う。「もうそれほどでもないわよ」
「ですが」
「……陛下」とうとうジュリアスが口を出した。「そろそろロザリアに、説明してやっていただけませんか」
「……あ」
ばつの悪そうな顔をしてアンジェリークが、また元の少女の顔に戻る。
作品名:あなたと会える、八月に。 作家名:飛空都市の八月