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飛空都市の八月
飛空都市の八月
novelistID. 28776
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あなたと会える、八月に。

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 「わたくしのヴァイオリンに釣り合うよう、しっかり練習しておいてね」
 「何を言う」ジュリアスの口調はしかしまったく怒っている様子はない。「そなたこそ、練習を怠るなよ」
 ヴァイオリンのレッスンをやめていたことは、どうやら知れてしまっていたらしい。だがロザリアは気にしなかった。
 「ジュリアスこそ、バタ足ぐらいはできるようになっていてね」
 「ならば、そなたのようにすぐ脱げてしまうような水着を選ばぬようにしなくてはな」
 「まあ、酷い!」
 そうロザリアが叫んだころには、ジュリアスがロザリアの肩にシャツを掛けた時点で状況を察したコラが、バスタオルを用意して波打ち際まで来て待っていた。
 「お借りしたシャツは洗濯してお返しいたします」ジュリアスに対し、深々と頭を下げるとコラはロザリアにタオルを渡そうとしたが、ロザリアはコラに「ごめんなさい」とだけ言ってそのまますいと通り過ぎ、テントへと駆けて行ってしまった。