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飛空都市の八月
飛空都市の八月
novelistID. 28776
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あなたと会える、八月に。

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◆7

 夕食時、ロザリアは気合いを必要としている。というのも、アンジェリークから今日一日起こった出来事をこれでもかというぐらい聞かされるからである。どれほど嫌そうな顔をして見せても、そのときはしゅんとしているものの翌日になるとけろりとして、すっかり忘れてしまったかのようににっこりと笑って話しかけてくる。最初のうちは他愛もないことが多すぎてロザリアも聞く耳を持たなかったが、しばらくして時折はっとするようなことを言うようになった。
 そしてその日もそうだった。
 「……え?」
 「だからー、ジュリアス様の笑顔を初めて見たのっ!」
 もともと大きな瞳を殊更に大きく広げて、アンジェリークが叫ぶ。
 「……話しながらフォークを振り回すのはやめてくれない?」
 なるだけ冷静なふりをして−−そう、これは『ふり』だ−−ロザリアは言った。話を変えたいような、どういうことでジュリアスが笑ったのか知りたいような……複雑な気持ちを抱え込んだまま。
 「あ、ごめんなさい」
 かと言って別段、気を悪くすることもなくアンジェリークはフォークをこん、と皿の上に置いた。音がしたことに対しロザリアは微かに眉を顰めたけれど、もう何も言わなかった。最近、こういうアンジェリークに慣らされてしまっている自分を感じる。
 「……で?」
 ロザリアは、続きを聞くことに決めた。



 「……ジュリアス様?」
 執務机の向こうでオスカーは、目の前の様子を不思議そうに見つめる。それというのも、声こそ出さず、ほんの少し唇の端を上げる程度ではあったが、明らかにジュリアスが笑んでいるのをみとめたからだ。
 「あ、ああ……すまぬ」
 「どうされたのですか、ジュリアス様」
 「実はな……今日、面白いものを見たのだ」
 その言葉に思わずオスカーは身を乗り出した。ジュリアスが目で机前の椅子に座るよう促す。黙礼してオスカーはそれに従った。
 「アンジェリークというのは変わった娘だ」
 そうしてジュリアスは話し始めた。